劇場公開日 2020年9月25日

「高評価の嵐の中で、確かに涙を流した感動作品なんだけどちょっと気にな...」ミッドナイトスワン 二ノ前さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5高評価の嵐の中で、確かに涙を流した感動作品なんだけどちょっと気にな...

2023年10月2日
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鑑賞方法:VOD

高評価の嵐の中で、確かに涙を流した感動作品なんだけどちょっと気になった部分が多かったのでまとめていきたい。

【一果について】
まず一果は劇中で凪咲も言っていたように「何を考えているか分からない」

これは我々視聴者も同じであり、寡黙で感情をうまく表現できない彼女だからこそ、
我々も思うままにかの次女の気持ちを感受できるんだけど、裏を返せば都合よく解釈しちゃうんじゃないかなと思ったのよね。

原作が小説ということもあって映画ではカットしないといけないシーンが多かったようだから、登場人物の心情に確かな正解はあるんだろうけど、映画と言う媒体では雰囲気を掴むぐらいしかできなくて置いてきぼりを喰らった気分になってた。

【リンとの関係について】
リンちゃんと一果の関係性は百合的だとか結構この作品の中ではノイズだと思ったから私はあえて彼女たちを究極の友情、真の理解者だと思いたい。

バレエの体験に来た時に一目ぼれしたとかはあるかもだけど、どちらかと言うとあの不器用な様を面白がっていい玩具で暇つぶしにしたかったっていう動機もあると思うな。最初はね。

リンは一果が好きだったんじゃなくて、自分と似た毒親を持つ彼女と共依存でいたかったんじゃないかな。そんな中一果がメキメキ成長していけば嫉妬もするし痛い目を見させたいと思うでしょ。同じ場所で苦しんでいてほしかったと言いますか…

キスの解釈としては興味だと思うんだよな…
個撮で男の卑劣で下品な部分を知っている以上、同年代の男子学生に恋するわけもないし。

親に対する逃避と反抗のための違法の撮影会やタバコ、同性とのキスもある種の社会への反撃と捉えたんだよね。

【雑記】
・ラストの解釈は難しいけど敢えての胸糞エンドと捉える
彼女たちは生きずらい存在であり、一果はあんな世界で時分のため踊れるような肝はないと思ったから
・田中俊介さんの女装も演技も最高でした
・結局何が言いたかったのかが分からなかった
間や余白のせいか捉えきれない「街の上で。」のような雰囲気映画っぽさ
・後半は何が起こるのか大体分かる演出がちょっと臭くて残念

別に嫌いじゃなかったんだけど、間の多い作品はちょっと苦手で
それにしてもキャラクターの個が強くて雰囲気を楽しむ感じでもなくて…

でもきっと小説版だったら好きだと思うので呼んでみたいな。

二ノ前