劇場公開日 2020年8月29日

「犬が暗喩するもの」マロナの幻想的な物語り SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0犬が暗喩するもの

2022年4月24日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

テレビで視聴。
はじめは退屈だと思って観ていたが、いつのまにかひきこまれて見ていた。

献身的な犬と身勝手な人間たちが切ない。
犬の気持ちや考え方って、庇護されなければ生きていけない立場にある人々、「子供」「女性」「病人」「老人」の暗喩なのではないかと思った。

庇護されているがゆえに強く自己主張することができなかったり、処世術として「耐える」「やり過ごす」という考え方をしていたり、男性原理的な思考では不合理な行動をとったり、進歩や成長より安定や安心を好んだり、といったところで感じた。

そういったいわゆる社会的弱者の、ある種の純粋さ、プライド、矜持、といったものが、歪んで見えたり、もどかしく思えたり、やはり切なく思えたりする。
もちろん究極的な弱者とは、暗喩でもなんでもなく、「犬」に他ならないが。

「子供のとき、こんな風に世界を見ていたな」などとも思った。
おそろしくてわけが分からなくて不安でいっぱいだったが、ギラギラとカラフルで、不思議なものでいっぱいの世界。

SP_Hitoshi