劇場公開日 2021年6月4日

「原作派も満足できそうだが、後半に詰め込み過ぎ?」映画大好きポンポさん waisighさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5原作派も満足できそうだが、後半に詰め込み過ぎ?

2021年6月8日
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敏腕映画プロデューサー・ポンポさんのもとで製作アシスタントをしているジーン。ある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡される。大ヒットを確信するが……なんと、監督に指名されたのはCMが評価されたジーンだった!

ポンポさんのかわいらしさ、ジーンの根暗感などキャラの動き、再現度は非常に高くて満足。
中盤までの話は割とシンプルで引き込まれる。熱い展開もいい。
原作漫画も既読だが、追加要素も作品の邪魔にならずいい働きをしてる…部分もある。

一番気になったのが追加撮影からのジーン。
まず追加撮影で何を撮りたかったのかが、イマイチピンとこない。
何よりマイスターのダルベールは作中劇でリリーと出会い、忘れてたものを取り戻し、それを音楽に還元したのでは?
ジーンが映画以外を削ぎ落として作品を完成させたのならそこが一致してないのがモヤモヤする点だった。
結局削ぎ落とすのか、拾うのかがわからなかった。
「アリア」というワードも急に出てきた感じがしてしまう。後半にテーマ(情報量)が増えてちょっと集中しにくかった。

総じて観てよかったが、もう少しシンプルな方がよかったなーと思います。

waisigh
もけぴろさんのコメント
2021年6月8日

追加撮影シーンの内容はダルベールと家族との関係性の深掘りでした。
「かつてはダルベールにも愛する妻と娘がいたが、音楽と家族のどちらかを選べと言われ音楽を選んだ」というシーンになります。
そういった背景が不足していた為、ジーンは「足りないシーンがあるんです」と追加撮影に踏み切ります。
何を切り捨てたかがわからなければ、アルプスでダルベールが何を拾ったのかわからないということですね。

後半の編集〜追加撮影で強く押し出されたアリアについてですが、これは物語後半の大事な骨組みになっていました。
それを強く補強するのが、追加撮影シーンの「貴方のアリアは最低だったわ」という台詞です。
かつてダルベールが家族に演奏して聴かせたアリアは音楽の帝王としてはとても不出来な、しかし妻と娘にとっては何よりも感情の込められたものであり、「誰かの為に自分の感情を込めて演奏する」アリアとしては寧ろこちらが正しいという事です。

これを物語後半、の追加撮影〜編集のシーンに当てはめるとペーターゼンの言っていた「映画とはアリアだ」「その映画の中に君はいるかね」「君は誰に向けてその映画を作りたい」といった発言もより理解出来るかと思います。
また、原作漫画を読むと物語後半の追加撮影シーンや編集の苦悩のシーンそのものの持つ意味もより深く理解出来ますが、逆に言えば原作未読だと確かに後半のシーンは難しい点が多かったかと思います。
原作漫画はpixivにて無料で読めますので是非読んでください、そうするとこの映画をより楽しめると思います。

もけぴろ