劇場公開日 2019年11月29日

「自分がしたいことをするために、人に人のしたいことをさせる、ということ」マリッジ・ストーリー J-taさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5自分がしたいことをするために、人に人のしたいことをさせる、ということ

2021年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

良い映画だった。好きなシーンは二つ。
アダム・ドライバーが新しくLAに借りたアパートで、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーが喧嘩するシーン。迫力とか、涙目になるタイミングだとか、声のスピード、音量だとか、なんていうか凄くて見入ってしまった。
もうひとつはたぶんみんな好きだと思うけど、アダム・ドライバーがNYのバーで「Being Alive」を歌うシーン。切ない。歌詞がとてもいい。書き起こしてみよう

Being Alive
誰かが君をきつく抱きしめ 誰かが君を深く傷つける
誰かが君のイスに座り 君の眠りを妨げる
誰かに過剰に必要とされ 知られすぎている
急に引き上げられたと思ったら 地獄に落とされる
生きてる 生きてる 生きてる

誰かが僕をきつく抱きしめ 誰かが僕を深く傷つける
誰かが僕のイスに座り 僕の眠りを妨げる
僕は気づく 僕は生きているんだ 生きてる

誰かに過剰に必要とされ 知られすぎている
急に引き上げられたと思ったら 地獄に落とされる
そして僕が 生きるために支えてくれる 僕を生かすために

僕を混乱させて 褒め言葉で馬鹿にして 使い古しにして 日々を変えてしまう
でも孤独は 孤独でしかないんだ
生きているとはいえない

誰かに愛をもって求められ 誰かの面倒を見させられる
誰かの近くに呼び寄せられ 僕は君と同じようにおびえたまま
僕らが生き残るため 生きてる
僕は生きているんだ

歌い終わって拍手も歓声もないのがいい

自分を曲げない、自分を強く持っている、信念がある、人に何か言われても自分を貫き通す
それは格好良く、美しい生き方のように見える。
それは、守るべき人・もの、共に生きていく人・ものがない場合にはとてもシンプルなのだと思う。
自分がこうしたい、と思うのはいいが、それと同じかそれ以上にいつもとなりにいる誰かにもその人がこうしたいと思うことをさせるべきということ
こうしたい、と思うものが出てきやすい人と、出てきにくい人の違いはある。
それを誰か・自分と一緒にやりたい人もいれば、それを一人でやるための時間が欲しいと思う人もいるかもしれない。
ただ、程度の差、強弱はあれど、「私はこれがしたい」と思わない人なんていない
だから、自分に都合がいいようにではなく想像力を働かせて周りを見た方が良い、ということ
そうすることが、健全に、自分が自分を貫ける環境・土壌をつくっていくことにもつながるはず。
そう思った。

yo_cga