「たかが無賃乗車に帝王の称号と命を懸ける」北国の帝王 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0たかが無賃乗車に帝王の称号と命を懸ける

2015年10月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

興奮

総合:55点 ( ストーリー:55点|キャスト:65点|演出:60点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )

 世界大恐慌の不況の中、無賃乗車で旅をするホーボーと呼ばれる男たちがいて、無賃乗車をする者を殺してでも食い止めようとする偏執的な車掌がいる。無賃乗車は成功するかどうか。意地と意地のぶつかりあいが注目を集めて、無賃乗車の成功が賭けになる。車掌のシャックを演じたアーネスト・ボーグナインのいかつい顔つきと行動が、いかにも頑固で強情な役回りにはまっている。反面、主役のリー・マーヴィンは若造相手に仲間だと言ったと思えば急に喧嘩したりで一貫性がなく、今回はそれほどたいしたものでもなかった。
 職を得ることが出来ない当時の情勢を考えれば、これが彼らなりの意地と自由な生き方なんだろうし、その後のヒッピー文化に近いものが在るのかもしれない。でも無賃乗車をすることに命を懸けるという主題にはまれなかった。それに展開も途中で下車したりとのんびりとしていて、中弛みがあって盛り上がりを感じられなかった。

 当時の状況と人々の間にある暗黙の価値観を理解しないと楽しめないかもしれない。大恐慌で長い期間職を得られないままの人々と、大恐慌でも職があってそのような人々を見下していて自分の権利を守ることは当然という立場の者との対立がある。持たざる者の自由を求めての体制への反逆が、その後のアメリカン・ニュー・シネマへと通ずる先駆け的な作品であるように思うが、作品自体は力不足。

コメントする
Cape God