劇場公開日 2019年9月27日

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「教育の大切さ」ホテル・ムンバイ よしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5教育の大切さ

2022年6月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

武装テロリストに襲われた高級ホテル。宿泊客と、宿泊客を守るために奮闘する従業員を描く群像劇。

実際にムンバイで起こった同時テロを基にした映画のようですね。
テロの概要を知っているだけに、観るかどうか迷っていた映画ですが・・・やはり酷い描写が多いですね。
淡々と、無慈悲に銃を乱射するテロリスト達。命乞いをし、或は覚悟をして殺される人々。分かってはいましたが、慄然とします。

そんな中、恋人を想い、或は宿泊客を守るために必死に行動する姿は、それが事実を基にしているだけに緊迫感溢れるものになっています。
宿泊客を守る為に残る選択をした従業員。
自分より恋人や子供の身を案じる宿泊客。
彼等の必死さや真摯さに心打たれます。

イスラム過激派の無常に対する憤りを感じますが、このテロリストをイスラム独特のものだとは思ってはいけません。日本だって、ほんの80年前には「天皇陛下万歳」を叫んで死んでいった若者が多くいました。聖戦だと信じて戦地で多くの人を殺した若者が多くいました。昭和天皇がそんなことを望んでいたわけではないのに、そう信じて、そう教育されて死んでいきました。
この映画の少年達を、「イスラムだから」で済ませてはいけないように思います。

私はそう考えていることもあるのでしょう。この映画でイスラムテロリストを「絶対的な悪」として描いていないことに共感を覚えます。信心深く、無垢で無知な少年兵。残して来た家族を想い、指導者を信じて死んでいく様子は、教育の重要性を改めて考えさせられました。

エピローグ・・・酷い、過酷な映画だっただけに前を向いて笑顔になれる描写が素敵でした。不覚にも涙が溢れてきそうになりました。

私的評価は4.5にしました。

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よし