劇場公開日 2020年2月28日

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「~「最も困ってる人のために闘え。」~ 観る者の胸を打つ衝撃作。」黒い司法 0%からの奇跡 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0~「最も困ってる人のために闘え。」~ 観る者の胸を打つ衝撃作。

2020年5月11日
PCから投稿

悲しい

怖い

知的

【賛否両論チェック】
賛:決してひるむことなく差別と闘い続けた主人公の心の強さに、頭が下がる思い。当時の黒人差別の哀しい現実の数々にも驚かされると同時に、その厳しさにも改めて考えさせられる。
否:展開そのものはかなり淡々と進み、似たようなシーンも多いので、人によっては退屈してしまうかも。

 嫌がらせや脅迫を受けても決して屈することなく、差別から人々を救うために戦い続けた主人公・ブライアンの強さに、まずは頭が下がります。実家を出るブライアンが、心配する母に、かつて自分へ言ってくれたという、
「最も困ってる人のために闘え。」
という言葉を話すシーンが、とても印象的でした。
 そしてやはり衝撃的なのは、当時の黒人差別の厳しい現実です。明らかに無罪であろう状況でも、黒人であることで死刑を言い渡されてしまったり、そうした人々を救済しようと奔走するブライアンに対しても、白人警官から拳銃を突きつけられて圧力をかけられたりと、当時の状況がいかに厳しいものであったかを、否が応でも考えさせられてしまいます。
 そんな中、クライマックスの法廷のシーンでは、人間としての一縷の望みが感じられるような展開で、少し救われたような気持ちになりました。
 内容的にも、どうしても同じようなシーンが続いてしまうので、人によっては退屈と感じてしまうかも知れませんが、決して目を背けてはいけない人々の闘いの記憶を、是非ご覧になってみて下さい。

映画コーディネーター・門倉カド