劇場公開日 2020年2月28日

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「心が震える、ってこういうこと」黒い司法 0%からの奇跡 yukarinさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0心が震える、ってこういうこと

2020年2月29日
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鑑賞方法:映画館

そう思わせてくれる映画でした

黒人は生まれながらに有罪
証拠も証言もなくてもいい
でっち上げでもいい

そんな驚くような背景で、多くの人々が無実のまま死刑宣告を受け、実際に命を奪われる現実がある
そして、実際の犯人は野放しのままだ

そんな現実に立ち向かった弁護士のブライアン・スティーブンソン
彼とその仲間たちの成し遂げた偉業の、ほんのかけら、
けれど、守られた大切な生命がこの映画では描かれる

全くでたらめの証言だけで、まともな裁判もなく、死刑を宣告されたウォルター・マクミリアン
再審請求は却下され、すでに数年を死刑囚として刑務所で過ごしている
彼の無実を確信したブライアンは立ち上がるが、そこに立ちはだかる妨害や壁
果たして、ブライアンは、ウォルターを救い出せるのか

観ながら、途中途中で4回、涙が溢れた
悲しさではなく、心が震えて
涙は零れずとも、心が揺さぶられるシーンは他にもあった

真実が通じない、正義が貫かれない
そんな逆境の中でも、ウォルターが語る魂の気高さを見せる言葉
観ているこちらは、なんとしてもウォルターを助けたくなる

そして、劇中に二度出てくる打ち鳴らされる金属音
この音の意味するもの、その言葉ではないものに涙が溢れた

ブライアンだからこそ、起きた展開の数々
貫かれない正義がまかり通る世界で、何を守っているのかわからないような検察
劇中でも、ムカつく相手たちでしかない存在
しかし、本来であれば、敵対し、相手を負かすことだけに目がいってしまうような状況下で、
ブライアンのとった行動に驚かされる
この行動が、のちに大きな展開のきっかけになるのだけれど、その展開を起こしたある人物の行動にも驚かされる
とてつもない勇気が必要だったはずだ
全てを投げ出す覚悟が必要だったはずだ
でも、それを成し遂げた
同じように勇気を振り絞った人物は他にもいるけれど、その人の行動にもまた心を動かされた
それもこれも、ブライアンの人となりが為せる技だった気がする

Do the right thing(正しいことをしろ)
よく映画でもドラマでも聞かれるこの言葉
まさにこれ、なんだよな

そして、この映画を観たことで、死刑について、再び考えさせられた

yukarin