劇場公開日 2019年7月12日

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「中高年向け「ウォーターボーイズ」」シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢 モーパッサンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0中高年向け「ウォーターボーイズ」

2020年6月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

フランス映画にしては珍しく単純明快なコメディ。一言で言えば、「ウォーターボーイズ」の中年オヤジ版。うつ病で失業中のベルトランはじめ、よくこれだけ集めたと思える冴えない中年オヤジたちが、男子シンクロナイズドスイミングの世界選手権を目指す。コーチのデルフィーヌは、こんなおっさんたちを相手にするとは思えないバリバリ元女子シンクロのエース選手だが、これまた挫折を抱えている。ぼくは、こう見えて実は、こういうスポーツ根性ものが大好きだ。本作が「カラテキッド」「ロッキー」のような王道スポ根ものと異なるのは、厳しい練習過程にストイックさが乏しく、笑わずにいられないことだ。特に、おっさんたちが主人公であることの破壊力がすさまじい。「ウォーターボーイズ」なら美少年たちの引き締まった体だったところが、すべて中年オヤジのぶよぶよした体なのだ。気持ち悪い(笑)。PG12指定なのは、この正視に堪えないおっさんの裸のために違いない(笑)。もう一人の女性コーチ、アマンダのキャラクターもインパクトがある。今は車椅子生活ながら、かつてはエース選手。口が悪く、厳しい。若く美しいアマンダが、新兵をしごく鬼軍曹のようにおっさんたちを鞭打つさまが、なにやら怪しく快い。それに対し、おっさんたちがいい年をして「あいつ殺してやる」と陰でぶつぶつこぼすだけの女々しさがこれまた笑える。梅雨時の沈みがちな気分を、本作が明るくしてくれた。

モーパッサン