配信開始日 2018年12月21日

「縛りブーム」バード・ボックス MASERATIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0縛りブーム

2019年8月19日
Androidアプリから投稿

「ドント・ブリーズ」、「クワイエット・プレイス」等の行動制限系の縛りホラーが記録を残すなか、ネットフリックス配信が開始された本作だが、テレビでも予告を流す等、注目度は高めだっただろう。
かなり楽しみにしていたので、早々に観賞した。テーマは「クワイエット・プレイス」のように未知の恐怖が蔓延るなかでのサバイバルであり、そのなかで子を身籠った女性にスポットを当てた作品でもある。

突然人々が自殺しだし、阿鼻叫喚の地獄絵図と化すシーンは恐ろしい。その後はある一軒家に複数の人々で共同生活をしながら身を潜め、それぞれの関係性などを描いていく。あることから逃避行へと発展するのだが、124分という比較的長時間でそれぞれ丁寧に描いている。
しかし、正直なところ丁寧すぎるというか、もう少し簡潔に描いて欲しい所はある。これが起因されたのか、ドラマ部分を重点的に描きたいのか、SFスリラーとしての部分を 描きたいのか、どっちつかずな印象になってしまっている。作風的に悲惨とも言える境遇のなかでの人々の希望や絆、愛、出会い、別れ…等を主として描いているのだろうが、丁寧すぎて盛り上がりに欠ける。それがネット配信の作品と、劇場公開の作品との違いなのだろうが、クオリティは同等レベルなので、本当に惜しい作品だと思う。

しかし、ありかなしかで答えるのならば、ありだと思う。登場人物に感情移入が出来るのはやはり丁寧に描いているからこそのことであろう。エンターテイメントを重視で観賞すると物足りないだろうが、その他の縛り系ホラーとはやや方向性が違う作品として、残しておきたい作品だ。

Mina