劇場公開日 2019年2月2日

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「「羊の薬買ったよ」 の意味するところ」ゴッズ・オウン・カントリー カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「羊の薬買ったよ」 の意味するところ

2021年4月15日
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鑑賞方法:映画館

あまりにアンモナイトの目覚めがよかったもので、ちょうど上映していたフランシス・リー監督作品を迷わず観賞。イギリスのヨークシャーの牧畜を営む家での話。アンモナイトの目覚めでは若い医者役で出ていたアレック・セカレアヌ。ルーマニア国籍だが、エキゾチックな容姿で、主人公のジョン(ジョシュ・オコナー)は初対面のゲオルゲ(英語だとジョージ)をジプシーか?と揶揄し、しつこく、ジプシーと呼ぶ。つい、ケイト・ブランシェットが愛を読むひとで演じたロマの人々を連想してしまいます。ゲオルゲは助っ人の季節労働者。飲んだくれで、なにをやっても適当で仕事に身が入らないジョンと半身麻痺の父親だけでは家畜の出産ラッシュの時期を乗りきれないと父親が判断したのでしょう。ゲオルゲは羊の出産立ち会いの技量が高く、命に対する細やかな心をもっていた。諦めずに蘇生し、仮死の子羊が息をし、すぐさま立ち上がるシーンは感動的だった。まるで獣医さんのよう。死産の子羊の皮を剥ぎ、別の子羊にそれを着せる。ちょっと残酷。プードルの冬の散歩?と思ってしまったが、おそらく、子羊の体温低下を防ぎ、産んだ母羊にも子供の匂いを嗅がせることが授乳に良い影響をもたらし、子羊の成育を促す効果があるのではないか?失った命も決して無駄にはしないルーマニア人の知恵なのではないかと思った。全くの想像ですけど。

羊のオマタに青いスプレー。何すんの? 「羊の薬買ったよ」って、ゲオルゲに嬉しそうに言うジョン。まさか、動物愛護団体の猛烈な抗議の的になるので、映像化できないアレ?

セリフが少なく、静かな映画。役者は細かい演技と思いきった演技の両方を要求されるので大変。対照的な二人を対峙させる脚本もアンモナイトの目覚めと良く似ていた。

お客さんはやはりご婦人が多かった。きっと、いくつになっても刺激的なボーイズラブ映画はやめられないんでしょうねぇ。わかる気がする。
おいらはもう一回、アンモナイト見よう!

カールⅢ世