COLD WAR あの歌、2つの心のレビュー・感想・評価
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激動の現代史を意にも介さぬ男女の愛
国策によって結成された歌舞団の指導者と新人として出会った男と女が、時代の流れに翻弄される。と、こう説明してもウソではないはずなのに、まったくそんな印象は残らない。この男女の痴話話は、もはや全体主義とか芸術の在り方とかそういうレベルを超越しているのだ。
あまりにも美しいモノクロ映像と音楽で綴られる男と女の遍歴は、確かに外的要因によって波瀾を増しているのだが、くっついたり離れたりを続ける主人公カップルにとって、そんなものは自分たちのややこしい恋愛を盛り上げるスパイスとしか感じてないようにも見える。
ミュージシャン同士のどうしようもない痴話話という意味でスコセッシの『ニューヨーク、ニューヨーク』を思い出したりもしたし、なんなら『天気の子』にも通じる部分があるように思う。とにかく「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」を地で行く唯我独尊カップルの姿を、面白いと思えるか否かが観客側の分かれ道だろうし、自分はこのワガママな恋愛を非常に楽しんで観た。楽しむ、というには暗い部分も多いが、それもまたアッパレな暗さだったように思う。
それは分裂の時代への鎮魂歌
冷戦時代のポーランドで出会い、恋に落ちたピアニストと歌手の運命は、やがて、東側と西側に引き裂かれ、引き裂かれても尚、会う場所を変えながら続いていく。しかし、2人に永遠の住処はない。時代の波が渦巻き、一旦それに飲み込まれたら、木の葉のようにたゆたうしかないのだ。今年のオスカーのダークホースとして注目された本作は、過ぎ去った出来事のようでいて、実は今も確実に存在している民族分裂の悲劇を、ラブストーリーに落とし込んで秀逸な出来映え。劇中に何度も歌われるポーランド民謡の多くが、添い遂げられない恋人たちの悲しみを訴えかけるもの。それはまるで、分裂の時代への鎮魂歌のようだ。
純愛
純愛は素晴らしいと思うようになったのは年を取ったからであろうか。恋とは若い時に盛り上がるものであり、中年になるにつれ、どうしても恋の炎を燃え上がらせることは難しくなる。若い時に抱いた思いをそのまま長い間持ち続け、それを成就させるという純粋な愛の形に憧れる。
ポーランドからパリ、ベルリン、ユーゴスラビアなどヨーロッパ諸国を渡り展開されるこの恋愛物語は、タイトル通り、冷戦時代の社会情勢に翻弄され、離れ離れになったり、一緒に生活するようになったりしながら、最後は心中という悲劇的な結末を迎える。
激情的な恋愛は最終的には死に行き着くというのが、世の習いではあっても、もう今から純愛はできないのではないかと不安に思うと、その愛のありかたを羨望してやまない。
リアルなおとぎ話
一週間は余韻でいっぱいだった。全編モノクロで音楽もストーリーもシンプルで88分と短めなのに、何と濃いのだろう!
冷戦下の東欧~パリを舞台にしたメロドラマといってしまえばメロドラマなんだけど、あっという間に引き込まれ終わってしまった。
音楽映画としても傑作。
映画館で観なかった事を後悔しちゃう。
ラストの朽ち果てた教会での二人は、なんだかあまりにも童話のような穏やかさで……
哀しいおとぎ話みたいな映画だった。
モノクロの映像美と音楽、時代に翻弄された人々
モノクロの映像美と、ポーランドの民族音楽(って言うのかな)がとても印象的な映画
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ポーランド音楽と踊りが絶えず流れ続ける前半部分
主人公2人の波乱に満ちた恋模様にキーポイントとなる歌が効果的に差し込まれる後半部分
全ての流れを一気に集約するラストシーン
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独特の空気感を持つ美しい映画でした
ただ、ポーランドの歴史や文化を知らないと、人物描写的に?な部分もあります
残念な映画
期待して観たが残念な映画。
途中で話が抜かれてるのではないかと思った。
途中で場面が突然変わるのだ。そういう映画はあるにはあるが本作品はストーリーが全くつかめない。
今まで観た映画のなかで初めてだ。
多分そうなんだろうなぁと想像して観てた。でも確信がない。
想像力を発揮するにはいい映画かもしれない。
衣装や撮影は良かっただけに残念です。
冷戦下の恋
東西冷戦下のポーランドでは恋愛は出来ても自由はなかった。
こんな時代をモノクロで描いた作品。
自由じゃないのはわかるけど、そのために裏切りがあるのもわかるけど、なぜか感情移入出来ない。
一途じゃないからか?
オヨヨ!
想像していたほどの衝撃作ではなかったかな。男女の愛、音楽愛、冷戦という監視社会の中であっても屈せず、くっついたり離れたりするけど永遠の愛をつかんだ・・・という物語。マズレク舞踏団結成前にピアニストのヴィクトルが田舎のあちこちを回って地元の音楽を録音する姿。最初は録音スタッフだと思っていたら、後の有名ピアニストになるだなんて。
最初のズーラはとても魅力的。清楚というよりビッチな雰囲気で、多分男なら誰でも惚れてまうがなタイプの女性。うん、歌手なんてほとんどが自信過剰気味だから気にならない。そして、上手いだけじゃなくて「心」があるんだよ、きっと。マズレク舞踏団の公演もことごとく成功するが、ソ連から来たカチマレク管理官によってスターリンを称える歌なんかも歌わされる合唱団。嫌気がさしてパリへと亡命するヴィクトルだったが、約束したズーラはついてこなかった・・・
パリではジャズバンドに参加したり、作曲・編曲で食っていたヴィクトル。ズーラも公演のためにやってきたりするが、二人とも恋人がいるのにやっちゃう。他の男ともやっちゃうズーラ・・・6回が強烈なほど。そんなことを繰り返してるうちに、ヴィクトルはスパイ容疑で逮捕されちまったのだ。
ポーランド民俗芸能、ロシア民謡、ジャズ、そして「ロック・アラウンド・ザ・クロック」と様々な国の違ったタイプの音楽が堪能できることと、モノクローム映像がずしりと重みを増していた。これも音楽映画の一つ。ただ、やっぱり二人の心は音楽だけではなかった。
冷戦の重苦しさは映像のみだった気もするし、逃亡したり逮捕されたりするシーンがないのは残念。カチマレクにしても、情報収集はするもののそれほどの悪ではなかった(スターリンが死んだからか?)。大国にはさまれたポーランド。いつの時代にも翻弄されてたんだな・・・
愛の水中歌
くっつきはなれてを繰り返す亡命芸術家ヴィクトルと民族舞踊団のスターズーラ。監督のパヴェウ・パブリコフスキによるとモデルは両親だそうで、国境をまたいでいったりきたり、別れてはまた一緒になる2人の関係性が子供心にとても破滅的に見えたという。そんな両親の心のルーツはどこにあったのか。東西冷戦下のポーランドで古い民族音楽の収集にまわるヴィクトルの姿は、父親の分身であるとともに監督パブリコフスキのオルターエゴだったのではないだろうか。
ソ連からの圧力により共産主義のプロパガンダとして利用される民族舞踊団。アンジェイ・ワイダのような政治的アレゴリーというよりも、映画の中ではあくまでも2人の愛を妨げる“障壁”として描かれる。パリに亡命したヴィクトル、ポーランドに残ったズーラ。民族舞踊団の海外講演を機会に再会しパリで新生活をはじめた2人。しかしパリの退廃と喧騒がまたもや“障壁”となり、愛を見失ったズーラは再びポーランドへと戻ってしまうのだ。
「ポーランドでは男だったのに…ミッシェルは1日に6回も(!!!!!!)」
人々が片時もスマホをはなさず大量の情報に埋もれている現代はラブストーリーにはむいていない、と監督は語る。この映画で障壁があればあるほど燃え上がる愛に没頭する男女の姿を描きたかったという。♪オヨヨ~の歌声が郷愁を誘うポーランド民謡とともに、モノクロ・スタンダードの抑制された映像美が、その愛をより純化してスクリーンに映し出す。登場人物の上部に余白をもうけた独特の構図や、被写界深度のあげさげによって、ヴィクトルならびにズーラの気持ちの揺れを見事に表現しているのだ。
ドストエフスキーの新訳で一躍脚光をあびた亀山氏によれば、東欧ロシアにおける“父殺し”には別の意味が隠されているという。時の権力者の暗殺、そしてそこには“神殺し”の意味合いまで含んでいるらしい。廃墟と化した教会で結婚式をあげた2人が選んだ道とは、死という永遠の障壁さえのり越えられそうなぐらい力強い愛だったのだろうか…
「あっち(あの世)の方がきれいよ」
呆然自失となったヴィクトルを導く“父殺し”ズーラの腕が逞しい。
心に残るは君の歌声
2014年の『イーダ』でアカデミー外国語映画賞受賞、本作でカンヌ国際映画祭監督賞受賞、昨年度のアカデミー賞でも監督・撮影・外国語映画の3部門にノミネートされたポーランドのパヴェウ・パヴリコフスキ監督作。
自身の両親をモデルに、冷戦下のポーランドで出会った男女の愛を紡ぐ。
まず目を見張るは、その圧倒的なモノクロの映像美! これには陶酔させられ、溜め息が漏れてしまうほど。
映像技術が向上し、スーパークリアなカラー映像もいいが、時たま見るモノクロ映像にはどうしてこうも魅了されるのだろう。
音楽も本作の魅力の一つ。舞踏音楽、民族音楽、ジャズと見る者聞く者を虜にする歌声が響き渡る。
話の方は…
音楽家のヴィクトルと歌手を夢見るズーラ。
舞踏学校で出会い、恋に落ちる。
荒波のような時代。
激しく惹かれ合いながらも、ヴィクトルは亡命。ズーラは彼と別れ、歌手となる。
再会。再び激しい愛。また別れ…。
運命と時代に翻弄されていく…。
二人の愛は情熱的。
主演二人は名演。特にズーラ役のヨアンナ・クリークは素晴らしい歌声を披露し、モノクロ映像の中でもクラシカルな美貌が映える。
惹かれ合い、出会いと別れを繰り返す男女の姿は、邦画恋愛映画の最高峰『浮雲』を彷彿させる。
名画である事には間違いない。
後は好みの問題。
悪くはない。が、淡々とした作風、静かな展開、詩的でちょっと分かり難い点もあり、完全に入り込める事は出来なかった。88分がちと長く感じてしまったのも事実。
監督の格調高い演出、クラシカルな作風、美しい映像と音楽とヒロインだけでも。
二つの心と四つの瞳
変わらないことに惹かれながらも、実際は多くの変化を受け入れていく。変わらぬのは2人の愛情。大河ドラマを88分に落とし込む。足りない感は残るが、足し始めたら10時間ぐらいかかりそう。
二本立て二本目。高評価に期待。 冷戦時代、感情の赴くままに求め合っ...
二本立て二本目。高評価に期待。
冷戦時代、感情の赴くままに求め合ったり、逃亡したり。が、結局離れられない男女の恋愛譚。
おしゃれを装うモノクロ、歌。
そして故意にわかりにくく描く環境の変化。究極はラスト。どうなったん?ちゃんと描けよ!何が「両親に捧ぐ」じゃ、その前に観客を大事にしろよ!
やっぱりフランスか(笑)
せっかく仕事早退で見に行ったが、本日はイマイチ私には合いませんでした。が、平日二回転目のパルシネはゆったり見られて満足です。
夢ある2人の情熱的なロマンス、圧巻パフォーマンスに魅了
アカデミー賞3部門ノミネート果たした本作
政府の監視下で、音楽通し運命的な出逢い果たした2人の情熱的なロマンスが政治的背景に描かれ、感情を余り出さない者同士、複雑な想いぶつけ合う姿が切なく胸に響いた
暗い影を落とす街並みとは対照的な、光が差すのを期待しているかのような、躍動感溢れパワフルで美しい圧倒されるパフォーマンスが印象的だった
美しい絵と女優
時代背景を知っていた方が、物語に入り込める。
モノクロの画像が美しい。3つのバージョンで歌われる主題歌も美しい。
主演女優のヨアンナ・クーリグが魅力的。
ポーランドの映画づくりの厚みも感じられる。
恋の本質は理性や世間体を超えたところにあるよね。
私にとって、今年のベスト。
☆☆☆★★ 腐れ縁映画に新たなる1本。 大好物な男女の腐れ縁映画。...
☆☆☆★★
腐れ縁映画に新たなる1本。
大好物な男女の腐れ縁映画。その頂点に君臨する外国映画ならば『アニー・ホール』でしょうか。
最近だと『あと1センチの恋』辺りかな?
当然の様に日本映画にも名作は多く、『浮雲』『浮草』『洲崎パラダイス 赤信号』『秋津温泉』等。
でも本作品は、『浮草』程のドロドロした関係でも無く。『洲崎…』程のドライな関係でも無い。
寧ろ『浮雲』系で最後には『秋津温泉』【系列】の展開に…と言ってしまうと。内容が丸分かりに分かってしまう人も居るかも知れない(´-`)
前半での、いきなり時間経過が飛ぶ編集には少し困惑してしまった。彼が亡命する辺りでは、詳しい前後の説明が薄かったのもあって、観ていて『あれ?』…と。
ところが、中盤辺りからは逆に。台詞だったり、字幕であったり、フェードアウトを使った編集であったり…と。懇切丁寧に映画が語りだし始めててからは、とても分かり易い作品になっている。
逆に考えると、分かり易くなり過ぎてしまっているのが良いのかどうか?…とも、或る意味で言えるかも。
更に言ってしまうと。腐れ縁映画でありながらも、何処か精神的な部分で、ジワジワと追い詰められいってしまう感覚を味合わされる『浮雲』や『秋津温泉』等と違い。作品の展開が(突然2人が)一緒になっていたり…と。何処となく《何でも有り》系な部分があって、その辺りの都合良さげな部分が、ちょっと残念に感じてしまった。
…と、言いつつ。その映画全体から醸し出される雰囲気といい。若い人達にはかなり刺さる男女の恋愛模様である気がしました。
2019年7月3日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1
うーん…微妙…?
映像は、モノクロで、時代を感じさせるようで、いい感じだったんですが…。意図的なのか、最近では珍しいスクリーンサイズ。何と言うのか分かりませんが、ほぼ正方形。そのせいで、圧迫感を感じました。しかも、映像がモノクロなので、見にくいような気さえしました。
ストーリーは、大人のラブストーリーってところでしょうか。ただ、何故、彼に執着するのか…、何故、彼女に執着するのか…、よく分かりませんでした。ま、理屈じゃないから、大人のラブストーリーなんでしょうけど。
主演の女優さんは、とても魅力的な方でした。この役が魅力的なのか、彼女自身が魅力的なのか、分かりませんが、とても気になる存在でした。
音楽も良かったし、彼女の歌も上手かったし、全体的に良かったんですけどね…。ちょっと残念でした。
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