劇場公開日 2017年10月14日

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「破綻した設定」恋と嘘 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0破綻した設定

2018年11月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 現在では世界平和統一家庭連合という名に変えているが、元の名は霊感商法などで世間をに知られた統一教会。桜田淳子などがワイドショーを賑わせた合同結婚式が行われていた。そこでは教祖様が選んだ相手とだから幸せな家庭が作られると信者も韓国のみならず、世界中に広まっていったのだ。今作の設定では厚生労働省がDNAに基づいてマッチングを行ってるようで、もう個人情報が筒抜けの状態である。

 男女は満16歳になると政府から通知を受け取るのであるが、ここに違和感の全てが潜んでいる。主人公仁坂葵(森川葵)が16歳の誕生日を迎えた瞬間、メールにて結婚相手が知らされる。相手は高千穂総合病院院長の御曹司高千穂蒼佑(佐藤寛太)だ。ストーリーを追ってみると、京都の医科大に進学すると言う。つまり年齢的には16歳じゃない。誕生日の違う幼なじみの司馬(北村匠海)にしたって、葵とマッチングすればいいな~と思ってたハズですが、誕生日に男女同時に通達されるとなれば、生年月日が一緒じゃなければ無理!年齢も同じ16歳じゃないと論理的に不可能だということに矛盾を感じないのだろうか・・・すでに破たん気味の設定だ。

 その他の設定はどことなく理解できるし、結婚を解消したってかまわないというルールもあったりする。下手をすれば全体主義に繋がる政策だけに、本来ならば悪しき制度として糾弾する者が現れてもおかしくない。これが少子化対策のためならば、希望者だけ登録しておいて、結婚相談所の政府版にしてしまえば丸く収まるし、反対する者もほとんどなくなるように思う。

 さて、葵、高千穂、司馬の三角関係はどうなるのか?といった展開で物語は進むのですが、寡黙で心を閉ざしたような高千穂に対して、自分の運命を彼に託そうと徐々に心を開いていく葵。「好きだ」と言葉にしないがキスばかり求めてくる高千穂はどこか怪しいとも思うが、司馬と友達になりたいと言った辺りから関係が微妙に動いていく。とうとうプロポーズをした高千穂。2人はめでたく結婚へ・・・

 と、ここまでなら政府広報のイメージドラマみたいでありますが、司馬が脳腫瘍を患っていることがわかってからが関係が大きく変化するのです。まぁ、結婚解消しても違約金を取られるわけでもなく、結婚資金の補助金が受け取れなくなるだけ。唐突すぎるどんでん返しには腰を抜かしそうになったけど、これで良かったのか?司馬は4年しか生きられないみたいですよ・・・

kossy