ソウル・ステーション パンデミック : 特集
シビれた? 泣いた? ハマッた? 超話題作「新感染」を見た人は全員集合!
あの感染はなぜ起こった? ソウルに何があった?
本作を見て、初めて“すべて”が完成する!
日本でもヒット中の話題作「新感染 ファイナル・エクスプレス」には、同作につながる恐るべき事件を描いた“エピソード0”があった。同作で実写映画デビューを果たしたヨン・サンホ監督が手掛けた「ソウル・ステーション パンデミック」が、9月30日より全国公開。あの感染はなぜ起こったのか? ソウルで何があったのか? 「新感染」を見た者なら絶対に見逃せない衝撃作に迫る!
本作を「新感染」鑑賞者の《必修科目》に認定──
「ソウル・ステーション」の“ココ”が、「新感染」とつながる!
16年の韓国映画界はもとより、カンヌ国際映画祭、そして日本でも話題沸騰のサバイバル・アクション、「新感染 ファイナル・エクスプレス」。ソウル発釜山行きの超特急列車内で巻き起こる、感染パニックのすさまじい恐怖をスリルとアクションたっぷりに描き、ラストには感動まで呼び寄せるという話題作だが、満を持して、同じヨン・サンホ監督による、恐るべき前日譚(たん)が登場する。「新感染」で強烈な思いを味わった映画ファンは、全員集合してほしい! 「ソウル・ステーション パンデミック」は、「新感染」で描かれなかった謎の真相をひも解き、同作の世界観を完成させるために絶対に外せない、表裏一体の必見作なのだ。
なぜ、ゾンビのごとく人間を凶暴化させる感染パニックは起こったのか? 本作ではその「始まり」が描かれる。すべての発端は、ある夜起こったひとつの事件。年老いたホームレスが重傷を負い、大量の出血を伴ってソウル駅に現れたことから始まるのだ。老人の兄弟が駅員に助けを求めるも、誰も取り合ってくれない。そこから、いったい何が起こるのか!?
「新感染」で超特急が感染パニックに見舞われるのは、足に傷を負った挙動不審な若い女性が列車に乗り込んできたことがきっかけだが、彼女を演じたシム・ウンギョン(「怪しい彼女」)が、本作「ソウル・ステーション」で主人公の元風俗嬢ヘスンの声優を務めているのだ。同じ世界観を持つ2つの作品で、同じ女優が担当するキャラクターが登場する……その意味とは?
「新感染」で超特急が出発する際、テレビのニュース映像で騒乱が巻き起こっているソウル市街の様子が映し出されていたのを覚えているだろうか。感染パニックが韓国全土に広がりつつある恐怖を伝える巧みな演出だが、本作では「その時ソウル市街では、どんなことが起こっていたのか」という実状が描かれるのだ。そこには、想像を絶する地獄絵図が広がっていた。
本作は、混乱に巻き込まれてソウル市街をさまようことになるヘスンを主人公に、彼女を探す恋人とヘスンの父親の奔走が描かれるが、「ゾンビ」を思わせるサバイバル劇を映し出しつつも、終盤には驚きの展開が待つ人間ドラマへと変貌する。ヘスンたちは無事に生き延びることができるのか? 彼女たちの運命、そして感染爆発=パンデミックの怒とうの拡大を見届けるしかない。
“同じ監督”だからこそ広がる“同じ世界観”
「新感染」の原点であり、各国映画祭が絶賛した監督の本領発揮作!
本作を手掛けたのは、「新感染 ファイナル・エクスプレス」と同じヨン・サンホ監督だ。同作で鮮烈な実写映画デビューを飾ったヨン監督は、世界的評価を集める、韓国アニメーション映画界の第一人者とも言える気鋭の映像作家なのだ。注目を集める話題作とその関連作といえば、メガホンをとる人物は異なっていることの方が多いが、今回の2作品は同じ人物。それだけに、確固たる意図と意志によって繋がった「同じ世界観」が、並みの作品以上に濃厚に描かれているのだ。
「新感染」が世界で絶賛されているヨン監督だが、本作も負けてはいない。ファンタスティック系映画の祭典として名高いシッチェス国際ファンタスティック映画祭に正式招待されたほか、ブリュッセル・ファンタスティック国際映画祭ではシルバー・クロウ賞を受賞。そして、アニメ映画界の権威のひとつであるアヌシー国際アニメーション映画祭にも正式招待を受け、喝采を浴びているのだ。
前作「我は神なり」(日本では10月21日よりユーロスペースほかにて公開)もシッチェス映画祭のアニメ部門最優秀賞受賞、アヌシー映画祭コンペティション部門出品と高く評価されているヨン監督だが、エンターテインメント性と社会に鋭く切り込んでいくドラマ性の融合が目を見張る。パンデミックの恐怖を描きながらも、格差社会の現状や人間の本質を織り込んでくる本作に、日本の評論家、映画ライターも絶賛だ。
「新感染」が生まれた発端は、この「ソウル・ステーション」だ。人間を凶暴化させ、他の人間を襲うことで感染を拡大させていくゾンビのような物語の構想が徐々に大きな広がりを見せ、「列車内での攻防」が実写映画プロジェクトとして発展したのだ。ヨン監督も、「『新感染』の出発点が『ソウル・ステーション』」だと公言。「新感染」の原点だからこそ、より濃厚な作品だと言えるだろう。
両方見て奥深さが倍増! 初めて全容が分かった時の“あの感覚”
「そうだったのか!」という思いが、“本作と「新感染」”でも──
1本だけでも面白いが、プリクエル(前日譚)やサイド・ストーリーを見たからこそ、世界観の全容が分かる──「そうか、そういうことだったのか!」という驚きと爽快感を味わったことのある映画ファンは、多いのではないだろうか。
近年だと、「スター・ウォーズ」と「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」や、「エイリアン」と「プロメテウス」など、シリーズ第1作につながっていく関係性の作品が記憶に新しいはず。「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」や「アニマトリックス」も、それぞれ「X-メン」「マトリックス」で描かれた世界や人間関係の秘密が描かれ、見る者に驚きと納得を与えた。人気ドラマ「ウォーキング・デッド」のスピンオフである「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」も、なぜゾンビがまん延する世界になったのか?を描く「序章」的位置付けだ。
本作「ソウル・ステーション パンデミック」と「新感染 ファイナル・エクスプレス」も、まさにこの相互に補完しあう作品関係。「ソウル・ステーション」では、「新感染」で描かれる大惨事がどのようなきっかけで始まったのかが明らかになるほか、感染してしまって機能を失っていく軍が、当初は感染者に対してどのような対応を行っていたのかが描かれる。「新感染」のスリルが、ジワジワとリアルさをかもし出してくるのはもちろん、「こういうことだったのか」という世界観がつながる面白さが、「ソウル・ステーション」を見ることで初めて体験できる仕組みになっている。「新感染」を見たなら、「ソウル・ステーション」で世界観を完成させる。両作合わせて鑑賞して、その思いをまた味わってみてほしい。