海辺の生と死のレビュー・感想・評価
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昭和は遠くなりにけり
風景と演技は楽しめる。
戦時の描き方がなにか薄味に感じるのはやはり時の経過のためだろうか。
今の時代は当時に近い危うさが蔓延している。面倒を避けることばかり腐心して安易に同調圧力に屈する。そんな誰にでもある精神の怠慢が「命をかけろ」に変質する。
それを映画はわれわれに警告し続けてほしい。
死の棘という予備知識がなかったら
死の棘という予備知識なしに観たら、違う結末を予想した。
事実について知らなかったこと。
海軍にカーキの制服があったこと。
この年に島に、ああいう下着が存在したのか!?
機銃掃射の実行方法を、具体的に考えたことがなかった。この描写は標準的方法?
隊長の姓は佐久だと思ったら朔だった。闇夜に来るという含み?
季節感が難しかった。新聞は 6/23 のことだったのか? そこを読み落として混乱。
お玉杓子と木槿の花が同時にある、という印象。それ自体は島の気候として当然なのかも知れないが、広島の話が出るまで、3/10 と 6/23 の間のどこかだろうと想像していた。「広島」で、いきなり一ヶ月半とばされた。
散漫たる散文
原作未読だが演出と台詞回しの陳腐さに辟易としながら自然や海と鳥の声だけが美しいひたすら長時間退屈な鑑賞だった。
ラブロマンス的にも戦争下における物語としてもほとんど生や死について胸に迫るものもなく
繰り広げられるシーンや台詞は使い古された表現で主演が満島ひかりでなければとても最後まで観られたものではなかっただろう。というか実際寝落ちしそうになること甚だしかった。
子役が地元の子どもを集めてテキトーに喋らせたのかと思うほどお粗末な演技で興醒める。
奄美という本土とは違う独特な土壌、島唄、それらになぞらえたもっと深い物語や新鮮な表現があるのかと思ったが美しい自然のロケーションも物語には余り活かされておらず
昨今新鮮な捉え方と表現力で心を惹きつけてやまない戦争下の作品もあっただけに期待したのだが
役者の演技力だけに頼る散漫たる散文を傍観しているだけの残念な作品だった。
たとえそこが戦地であっても、緑の美しさは色褪せない
戦地の素顔は、美しい。緑が濃く、瑞々しく、鳥や虫がひっそりと息づいている。
そのような描き方がされるようになったのは、イーストウッド監督2部作の頃からだろうか。塚本晋也監督渾身の作「野火」で、「美しい戦地」は決定的となった。さらには、布教をめぐる受難を丹念に描いた「沈黙」(塚本監督が、壮絶な死を遂げる村人を鮮烈に演じている。)で描かれる、大自然の神聖さへと受け継がれていく。五島列島の深い森や荒涼とした岩海は、ちっぽけな存在である人を包み込む場として、戦争が繰り広げられた熱帯の島々に連なっているようだった。
「海辺の生と死」は、奄美が舞台となっているが、民間人を大きく巻き込む戦場となった沖縄を想起せずにいられない。どちらにも、豊かな自然と文化がしなやかに根付いている。あまりにも自然が色濃く描かれているので、その鮮やかな緑は、「今、そこ」にあるもののようだ。もしくは、時代も場所も越え、ここではないと何処か、いつでもない何時かの物語のようにも思えた。(実際、一緒に観た6歳の子は、旅行したばかりの石垣に印象が重なり、昔の物語とは思っていない様子だった。)
過去のいわゆる戦争映画は、史実を辿ることに意味があった。一方、ここ最近の作品は、普遍的な物語の通奏低音として戦争を描くことで、戦争が決して過去のこと・他人事ではないと、静かに強く語りかけている。
また、かつては、主要人物が命を落とすことで、戦争の愚かさ悲惨さを訴えることが多かった。一方本作は、豊かな自然に寄り添った日々の営みを丁寧に織り込むことで、人々が緑の美さや鳥の声を味わう余裕なく追い詰められ、追い立てられていく「戦争」というものをあぶり出す。何があってもそこに淡々と在り続け、全てを包み込む自然の広大さが、戦争の矮小さを静かに語っているようにも感じた。
島の少女と、赴任してきた若い兵士が出逢い、為るべくして惹かれ合う。死が近づいていると互いに感じ、別れを受け容れようとしながらも、生にすがらずにいられない。史実を知っている身としては、2人は結局は無事なのだと八割方確信している。にもかかわらず、あまりに必死で一途な2人の姿を見ているうちに、もしや…と、不穏な気持ちをかき立てられずにいられなかった。(彼ら(のモデルとなった島尾夫妻)の悲劇は、ずっとずっと後に起こるのだが…。)緊張の末のラストは、すとんと胸に落ち、じわりと心に染み込んだ。
沖縄の唄ともまた違う、哀切のある奄美の島唄が、今も耳に残る。ヒロイン満島ひかりさんに加え、朝崎郁恵さんの唄も久しぶりに味わえてよかった。
退屈
ないわ。
リアリティがない。
だから感情移入もできない。
その上、155分という長丁場。
主人公の二人が、単なる自分本位な男女に見えてしまった。
あの映画の中では、満島ひかりさんが、頭の弱い女性に見えてしまって、不憫でした。
あの体を晒すシーンは必要だったのだろうか。
この映画に少しも魅力を感じなかったために、そこまでやる価値があったのだろうかと思いました。
上映後にトークイベントがあって監督が意図を語ったが、共感はできない。
井之脇海くんを生で見ることができてよかったと思いたいのだが、周りのオッさん喋りすぎ。
もっと彼に喋らせろや。
こんなに夜遅くまで残ったんだぞ。
客のニーズを考えろや。
素敵でした
映画のタイトル通り「生と死」が主な伝えたい内容であったと思う。
想像していたよりも涙を誘う物ではなく、彼等があの時代に感じた「生きたい」や「貴方の為なら死んでもいい」が緻密に描かれていて、現代の私たちが軽々しく言ってしまっているような「死」の言葉がどれほど軽率なものかを痛感した。
見終わった後何かしこりのようなものがこびりついて抜けなかった。
普段生活する中で「生と死」について考える機会はそう無いが、改めて考えさせてくれるようなそんな作品であった。
奄美の美しさも見れたし、何より満島ひかりの島唄は心惹かれるものであった。毎回彼女に感動を与えてもらっている。
永山絢斗もまたこんな演技ができるのかと新しい発見ができた。
消化不良です
残念ですが、わたしは映画に感情移入することも没頭することもありませんでした。155分は長すぎます。もしくは、ストーリーがわかるようにもっと長くてもよかったかも。これからみにいく人は、ある程度予習していかないと取り残されたような気分になると思います。
満島ひかりさんは「悪人」のころから注目していた俳優さんだし、舞台が奄美大島ということで期待してみにいきましたが、この作品は退屈。
ヒロイン「とえ」が当時の離島に住む女性としては洗練されすぎているというのもあるだろうし(東京女学校帰りの女性ということですが、映画では分からない)、本来なら3時間以上あるものを切り詰めて155分にしているので話が途切れている。
とえは父親と二人暮らしのようだが父親とは妙によそよそしい。あとでパンフレットやネットで探してわかったことだけど、とえは養女。それがわかっていれば、もっと観方もかわったのに。
朔隊長と海辺で会うシーンは見せ場だったのだろうけど、退屈に過ぎなかった。とえがひとりでわあわあ騒いでいるだけ。喪服で海を泳いできたのに、ちっとも喪服がぬれていないというのも興ざめ。
しかも、朝まで海辺にいたとえが、終戦になったことをいつ知ったのかわからない。赤ん坊が生まれたのが、終戦の合図で、未来への希望なのか。防空壕で自決しようとしていた養父たちはどうやって終戦を知って、どうして自決をやめたのか。どうやら、日常が戻ってきたので戦争は終わったようだと後になってわかるのだけど、だまされたような気分。きっとこのあたりのシーンはかなり削られたのでしょうね。
最後まで消化不良な作品でした。
ところで、旬の女優さんだけあってラブシーンも上品ね、と思っていたらクライマックスの水ごりの場面では、おっぱい丸出しでした。正面から堂々と撮っていてここは目が覚めた。彼女のこの作品への意気込みは伝わりました。
でも、この映画のおかげで島尾敏雄、島尾みほという作家に興味がわいたので、作品を読んでみようと思います。その契機になったという意味ではいい映画でした。
奄美の時間を擬似体験できる映画
監督と満島ひかりが対談で言っているように、演出意図は島の時間をフィルムに落としこむことにある。群青色の海、日常に流れる歌、魂と共存する人の姿から島に流れる時間を感じとることができる。本来は3時間を超える映画だったそうで、そちらの方がより演出意図が感じられたに違いない。
複数の小説を原作にしたためなのか、ストーリーはややわかりにくい。観客がある程度補足しながら見る必要がある。戦時中を舞台とした映画としては、俳優の演技への演出や美術にも疑問が残った。特に永山絢斗の演技は当時の大学生にしたら、やや幼いのではなかろうか。
それであっても、この映画でしか体験できないものが確かにあるので、劇場で見てほしい。
(補足)
満島ひかりの衣装が非常に良かった。映画衣装フェチとしては、非常に満足しました。
奄美大島
比較的空襲の少なかった奄美が舞台とはいえ、やけに綺麗な服や建物や外の景色で戦時中という感じがしない。
更に、殆ど固定カメラのスイッチで取って付けたような飛行機と爆撃音。
説明台詞と歌の連発なうえに、舞台劇の様なつくりなのにたっぷりな間で、迫力がなくて眠くなる。
自分には合わなかった。
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