僕のワンダフル・ライフ : 映画評論・批評

僕のワンダフル・ライフ

劇場公開日 2017年9月29日
2017年9月26日更新 2017年9月29日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

えっ!愛犬が転生?可愛らしさと驚きに満ちた、珠玉のワンちゃん物語

愛犬とともにある生活は宝物だ。彼らは日々多くの喜びをくれる。だがそんな暮らしの中、ふと痛切な事実に気づかされることもある。それは、犬の寿命は人間よりもずっとずっと短いということ。もしも子供に「亡くなったワンちゃんはどこに行くの?」と尋ねられたなら、あなたはなんと答えるだろう。言葉に詰まった時はこの映画を見るといい。もともと愛犬を亡くした恋人を癒す目的で原作が書かれたこともあり、まるで陽だまりに触れるように暖かく、優しい答えをもたらしてくれるはずだから。

物語の始まりは60年代。8歳の少年イーサンは「僕が何でもお世話をする」という条件で子犬のベイリーを飼い始める。そこからの日々、腹を抱えて笑ったり、親に怒られたり、甘酸っぱい初恋や人生の挫折を味わった時、いつもすぐ側に彼がいた。しかし何年もの月日が経ち、いつしかお別れの時がやってくる。その瞬間、不思議なことが起こった。ベイリーはきらきらとした光に包まれ、それを抜けるとまた新たな子犬としての人生が始まったのだ。そう、これは“よみがえり”の物語なのである。

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名匠ラッセ・ハルストレムが犬を題材にするのはこれが3度目。今回も爽やかな風を思わせる語り口が非常に心地よく、愛犬家にとって誰もが身に覚えのあるリアリティと、時にファンタジーにも振り切れる世界観を齟齬なく描いてみせる手腕はさすがだ。レトリバー、シェパード、コーギーと転生するたびに犬種や性別が変わり、飼い主の日常に合わせて警察物からファミリー物までまるっきり違った質感のドラマが起動していくのも本作にしか成しえない発想。その上、時の経過とともに服装や町並みが変化し、この映画が自ずと、犬の目線で見つめた現代アメリカの50年史を織り成している点も興味深いではないか。

全米公開時、何度生まれ変わってもイーサンを探すベイリーの姿に多くの愛犬家たちが頬を濡らしたという。恋人でもなく、親友でもない、まさに犬と人間ならではの不思議な絆が描かれた本作。哀しい別れのたびに「もうペットは飼わない」と誓いながら、それでもまた新たな家族を迎えてしまう理由を、この映画は少しだけ解き明かしてくれているのかもしれない。

牛津厚信

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