劇場公開日 2017年4月8日

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「かつての勢いを繰り返すのではなく、物語として成熟している」T2 トレインスポッティング ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0かつての勢いを繰り返すのではなく、物語として成熟している

2017年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

20年ぶりの続編。ボイルやキャストもかつての二番煎じでは成り立たないことをちゃんと理解している。だからこそ、勢いではなくスローに、それぞれの歩調、立ち位置をしっかりと確かめるように物語を起動させていく。ややもするとオーソドックスな語り口にも見えるかもしれないし、観客によっては自分の過去と現在すらシンクロさせ多少の“痛み”を感じる場合もあるだろう。でもこの痛みがいい。素晴らしい。時代と人生に折り合いをつけ、多少絶望しながらも、各々のリミックスとテンポで“Born Slippy”と”Lust for Life”を全うするかのような生き方。そうせざるをえない生き方。その行き着く果て、観客と登場人物の記憶と鼓動が同期するときに、懐かしい風景が眼前に蘇る。こうやって続編でしか成し得ない、唯一無二の語り口を推し進めていくボイル。彼が選びとった方法論に“ストーリーテラー”としての成熟ぶりを感じずにいられなかった。

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牛津厚信