劇場公開日 2017年7月8日

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「反原発の祈りを感じる。」メアリと魔女の花 DEPO LABOさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0反原発の祈りを感じる。

2020年6月2日
iPhoneアプリから投稿

・魔法=原子力と置き換えてもなんだか筋が通る
・いろんなドキュメンタリーをみると、スタジオジブリのオフィス内には至る所に反原発の文字が貼られてます。作品の本質は宮崎駿的思想なのだと感じる。
・宮崎駿は、「世界が生き続けるためには子供の存在が不可欠だ」と言っていました。
「子供という存在自体が生の世界を繋ぎとめている」と。
(砂田麻美監督のドキュメンタリー、夢と狂気の王国より)
・将来的に子供たちの世代が、原子力という魔法の言いなりになってはいよいよヤバいことになるという危機感があるのではないか
・映画の中で、魔法がもたらす楽しさ、危うさの描き方のバランスが非常に配慮されてる
・魔法は見たことのない景色を見せてくれる。しかし、こんなエグいことも引き起こす。
・冒頭に魔法の力で、木々がものすごいスピードで成長するシーンがあるが、鳥もものスゴイ勢いで成鳥になる。そこのちょっとした気味の悪さのさじ加減が絶妙。
・実験台にされた動物たちのグロさはこれ見よがしだけど笑
(子供たちに魔法の恐ろしさを植え付ける大人たちの本気度ハンパない)
・ついには魔法の実験でメルトダウン。
・子供には伝わらないかもだけど大人がみたら、これはと思うシーン。
・そしてついにはハッキリと「魔法はいらない」と断言します
・もともと映画はプロパガンダや国民への教育のために発明されたものですが、そういうカラーが強い作品。そういう意味ではただのおとぎ話じゃない。
・この不幸や時代を絶対繰り返してはならない、このままでは繰り返すぞという危機感という点では、初代ゴジラ、シンゴジラにも通ずるものがある

・作画の美しさはさすが。
(空気の動きを感じる服や髪の波打つ描写はやっぱりすごい。背景もあったかい!)
・劣等感を抱えた少女が次第に自信を取り戻し元気になるストーリーは、相変わらずジブリ。
・いつの時代もそういう劣等感を抱えた人が多いのかもしれない。
・千と千尋×魔女宅×不思議の国のアリスというような雰囲気
(この組み合わせ絶対美味いっしょ!という幕の内弁当感ある)
・エンドロールに、
「感謝 宮崎駿 鈴木敏夫 高畑勲」
の文字

DEPO LABO