劇場公開日 2017年4月29日

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「将暉の年」帝一の國 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0将暉の年

2017年11月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

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最初予告編を見た時はくっだらねぇーアホみたいな映画だと思った。
流行りの漫画の実写化で、女子がキャーキャー言いそうなイケメンを揃えてのコスプレ祭り。
こんなの、ぜってぇーつまんねーよ。
が、いざ公開してみると、ヒット。評判もすこぶるいい。
こうなってくるといつものミーハー心で興味が沸き、見たくなってくる。
見もしないでの偏見、数々の御無礼、大変失礼致しました!

名門・海帝高校。代々生徒会長を務めた者は将来、官僚や総理大臣への近道。
将来総理大臣になり、自分の國を作る。入学したその時点から、赤場帝一の闘いが始まった…!

ズバリ!分かり易く言えば、帝一は『ちびまる子ちゃん』の丸尾くん。
そんな丸尾くんがどんどん異常になっちゃって高校生になって、周りも同じ輩。
総理大臣になるには生徒会長になる事。生徒会長になるには次期生徒会長の派閥に入る事。
その為には手段も選ばない!
犬にだってなるし、靴も舐めるし、ふんどし姿で太鼓をも叩く!
迫力ある音楽や全体の音。(これは単に大音量でヘッドホンしてたからかもしれないけど…)
スカッと高揚感すらあるテンポ。
痛快愉快な生徒会バトル・ロワイアル!

若手俳優たちの熱量高めの演技を見ているだけで楽しい。
見る前は菅田将暉以外皆同じ顔に見え、誰が誰だか区別出来るかなと心配要素あったが、その必要ナシ!
それぞれキャラ立ちもしっかり。皆揃いも揃って個性強烈過ぎ!
誰が敵で、誰に取り入るか。
『シン・ゴジラ』の台詞を思い出してしまった。「政界はシンプルだ。敵か味方しか居ない」

野心の塊。天才と狂気とバカは紙一重。…いや、同じ?
爆笑必至のテストの点数対決での血管ぶちぎれそうな怪演だけでも座布団十枚!
こうして見ると改めて、菅田将暉は面白い役者だと思う。
今年は主演作続き、“帝一の國”ならぬ“将暉の年”。『あゝ、荒野』や本作など変幻自在、主演男優賞の“票取り”はほぼ固いだろう。

帝一の最大のライバル、菊馬。『モンスターズ・インク』のランドール的なポジションで、野村周平が憎々しさと嫌味たっぷり。
帝一の心強い味方、光明。志尊淳が可愛い顔で強力サポート。
次期生徒会長最有力候補で、帝一が犬になりたい氷室。異彩を放ち、俺はまだ間宮祥太朗を知らなかった。
同じく次期生徒会長有力候補。氷室が“動”なら、“静”の森園。2年生だけど、千葉雄大が一番下級生に見える…。
そんな中で弾=竹内涼馬がまとも過ぎて明らかに唯一浮いている。でも、爽やかな好青年の彼に何度も助けられた。

吉田鋼太郎もいつもながらの大声量インパクト。
山路サンが実は意外と初老で驚き。どうしてもステイサムのイメージなので…。
永野芽郁は可愛ければそれで良し。

本作、単なる学園コメディに留まっていないのは、我々がよくニュースで耳にする醜聞を面白可笑しく、それでいて辛辣に置き換えている点。
政界。選挙戦。
派閥争い。票集め。賄賂。…
卑怯な策士は策に溺れ、傲慢な者には必ずしっぺ返しが来る。
トップに相応しいのは…? トップに相応しい“もの”は…?
何の為にがむしゃらに闘い、トップを目指すのか。
ほんの些細な理由。
たった一つのそれが、自分を突き動かす。

欲を言えば、“彼ら”の生徒会長戦は続編作ってやって欲しかった。
最後、思わぬ行動を取った帝一。
闘いの中で友情や人望を…NO!
帝一は帝一。
全ては、“マリオット”。
まだまだ野心と國造りを見たいぜ!

近大
れいすけ(休眠中)さんのコメント
2021年1月15日

さすが近代さんのレビューですね。的確すぎます。僕もかなり同じように感じたのに、こんな上手く表現できません。

れいすけ(休眠中)