劇場公開日 2017年6月10日

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「勧善懲悪型の不倫よろめきドラマ」昼顔 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)

3.0勧善懲悪型の不倫よろめきドラマ

2017年5月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

試写会告知とポスターぐらいしか目にしなかったのですが、「お、いまどき、よろめきドラマか」ということで関心大。
ですが、先にドラマ版があって、それの続編とのことを観る直前に得て、うーむ、観に行くのをよそうかと、ちょっと躊躇いました。

夫ある身でありながら、大学准教授・北野裕一郎(斎藤工)と不倫の関係になった紗和(上戸彩)。
ふたりの不倫関係は最終的に家庭裁判所にもあがり、紗和は裕一郎に近づいてもいけないということになった。
結果、夫と離婚し、誰も知る者のいない海辺の町に引っ越して生活を始めた紗和であったが、裕一郎の後援会があると知り、姿を隠して会場に行ってしまう・・・

というところから始まる物語は、よろめきドラマの典型だ。
ただ、よろめく女性が、もうすでに離婚しているので、正確には「よろめきドラマ」ではないのだが。

まぁ、それほどつまらなくもない。
観ているうちは、そこそこ面白い。
というのは、不倫される相方、裕一郎の妻・乃里子(伊藤歩)や、過去に妻に不倫された経験を持つカフェレストランオーナー(平山浩行)の気持ちがしっかり描かれているから。

現在の幸せを壊され、また過去に壊された経験のある者にとって、当人たちの「幸せな」恋愛には、腹立たしくなる。
特に、当人たちが、まるで、周囲に気をかけず、能天気に恋愛ごっこと繰り広げているとならば、なおさらだろう。

ということで、面白さの大半は、伊藤歩と平山浩行の役柄によるところが大きい。
主役ふたりの描き方は、ほとんどファンタジーのようで、それほど束縛もなく、自己に対する節制もないような紗和の側から描いているので、途中であほらしくなってしまったりもした。
妻と不倫相手との板挟みになる裕一郎側を掘り下げると、もう少し深い映画になったかもしれない。

とはいえ、面白いのは、「勧善懲悪」的な結末の付け方。
妻が身を挺して、夫と不倫相手に罰を与えるような衝撃的な行動を取るのだが、昭和的なエレジーで興味深いが、苦笑もしてしまう。

昭和的といえば、エンディングに流れる曲も昭和的なのだが、後半何度もピアノ伴奏でBGMとして流れる「他人のふたり」もアンニュイで、昭和的。
面白く観られたのは、このBGMのお陰でもあるかも。

りゃんひさ