劇場公開日 2018年2月3日

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「これでも抑えたけどややネタバレあり。」羊の木 あっきゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これでも抑えたけどややネタバレあり。

2018年2月6日
iPhoneアプリから投稿

ポンポンという少ない音数で主人公と共に観客も感じる不穏な空気。街に受け入れる6人の殺人犯のバックボーンは多くは語られない。この人なに?と思っていると次のカットに移っている。だからこそこちらも興味をもち、映画の世界に引きこまれている。そこにはクスっと笑えるシーンもいくつか散りばめられていて。序盤からお見事だよ吉田大八監督!

そう、「桐島、〜」がそれぞれの目線で何度も同じシーンを繰り返し、それぞれが何を見ているのかに気づくと(ほー)となったようにこの映画も登場人物の視線の動きに注目すると俄然面白くなってくる。特に祭りで月末が文を見つけたときの表情、、祭りには行かないって言ったじゃないか、、、

真面目で良い人のはずの月末もいざ自分の父親や好きな人が元犯罪者と関わりだすとホンネが飛び出す。先入観や偏見で人を見ている自分自身のイヤな部分を突かれているようで痛くてヒリヒリする。
メモしたくなるような台詞もたくさんあったな。人は肌で感じたことは云々は、宮腰が手を洗って文に触れるところにつながっていく。宮腰はただ無邪気な人で生い立ちなどを考えると本当に切ない。

誰もがどこかに爆弾を抱えて生きているよね。少なくとも私は自分の爆弾が大きくていつ爆発するかわからない恐怖がある。紙一重、ていうか。人間そういうものじゃないの?

全てを呑み込んだのろろ。目を合わせてはいけない存在だったのに引き上げられて皆が喜び、一緒に写真まで撮っている。街の人はそれを直視して受け入れて、そして生きていくんだね。主題歌のDeath is not the End もボブ・ディランではなく女性ボーカルが入ったカバーを使っているところもポイントだろうなぁ。エンドクレジットが全て海に沈み(通常は下から上に上がっていく)最後に光が射す。死は終わりではない。再生するのだ。

あー早く2回目の鑑賞がしたい!!

ごーるどとまと
よしくんさんのコメント
2022年4月9日

エンドクレジットの意味、深く納得です。ありがとうございます!

よしくん
ちもさんのコメント
2018年2月7日

本日川崎で鑑賞しました 人間って本当に紙一重 同感です。

ちも