劇場公開日 2017年5月20日

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「なにか一枚の大きな絵のような映画でした」オリーブの樹は呼んでいる jackalさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0なにか一枚の大きな絵のような映画でした

2022年10月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

見終わってから、しばらくしてよみがえってきました。
オリーブの樹を取り戻そうと突っ走るアルマ。ののしり合いながらも愛情深い家族。オリーブ畑を縫って長く続く道路とトレーラー。壊された自由の女神像。組織として冷徹に対処するドイツ企業・・・などの映像、エピソード。

もうひとつは、樹齢2000年のオリーブの樹。その樹とどこか一体にみえるアルマの祖父(マヌエル・クカラ)。この祖父は昔の日本映画「東京物語」の笠智衆みたい。口数が少ないのですが存在感があります。樹を売られ悲しみ、気力をなくしているかわいそうな老人というだけではないですね。

この映画を創った人の思いを勝手に想像してみると、個々を評して通り過ぎるのではなく、両方・全体を含めた大きな絵をみるように、ゆっくり眺め、なにかを感じ、考えてほしい、ということではないだろうかと思いました。
スペイン映画ならではのあたたかさと、現代社会への問題提議を秘めた味わいある映画だと思います。

jackal