劇場公開日 2017年3月3日

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「真実はなく、許されぬことなどない」アサシン クリード 神社エールさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5真実はなく、許されぬことなどない

2017年3月18日
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鑑賞方法:映画館

幸せ

興奮

知的

アサシンクリードシリーズは4までクリア済。

原作が好きだったので、それがマイケル・ファスペンダー製作で映画化されると聞き、予告編が公開されるまでは期待半分不安半分でいたものの、予告編でのアクション&バルクール&イーグルダイブで原作の良さを上手く表せていたので、それが見られるなら例え内容がダメでも値段分の価値があると思い観に行った。
結果、想像以上の再現度だったし、少なくとも原作ファンはみんなガッカリしない様な素晴らしい出来の映画になってたと思う。

あくまで映画から入った人の為に説明をしておくと、
・アサシン教団とテンプル騎士団は数世紀に渡って歴史の裏で戦い続けている
・現在のテンプル騎士団はアブスターゴ財団を設立するなど資金力や人数も潤沢、アサシン教団はそこここに少数のメンバーが点在しているレジスタンス的イメージ
・”エデンの果実”は創世記、地球へとやってきた異星人が製作した奇跡のアイテムで、本編で使用されていなかったもののひとたび使えば周りの人間を思いのままに洗脳することが可能
・テンプル騎士団は"エデンの果実"をはじめ、世界各地に散らばる”秘宝”を集め人民を掌握しようとしている
・その為にDNAを元に祖先の人生を追体験させ、"秘宝"の場所に繋がる手掛かりを得る為の装置、アニムスを作った
・アサシン教団としてはアサシンが捕まる=敵に秘宝の場所がバレると言うこと
・アサシンの人生を追体験することにより、暗殺を学んだことがない者でもたった数日で数年分の経験が手に入る

感想に「全体的に説明が足りない」みたいなものを多数見掛けたけど、原作でも1から10まで説明するタイプの作品では無い(シリーズを続けていく中で全体像を少しずつ理解していく)ので、これがアサクリなんだと思うか、疑問に思った点は原作をプレイして納得するのが正しいんじゃなかろうか。

原作ではベッドや椅子のタイプだったアニムスを体さばきを疑似体験出来る一室にしたことで、原作ではアニムスに入る期間の長さでだんだんとモノにしていく(プレイヤー自身の理解やスキルの上達など)表現だった祖先の技を引き継いでいく描写も、映像媒体ならではの説得力を増していて良かった。

暗殺の道具もアギラールだけでアサシンブレード、剣、投げナイフ、煙玉、弓とゲーム中の武器も3までのものをほぼほぼ出してくれているので原作をプレイしていると感動もひとしお。
特にアサシンを象徴するアサシンブレードの作り込みも原作同様で、観賞中思わず握り拳を外側へ突き出す(ブレードを出す動作)を真似している自分がいた。

そんな暗殺の道具を使ったアクションはカットを割るものの必要最低限の量で、原作の一連の動きを重視しているのがとても良かったし、カウンターアタックも原作とほぼほぼ同じ動きで、再現するのに苦労したろうなと思うと同時にそれを惜しげもなく見せていく演出に原作への愛を感じた。

バルクールによる逃走劇も、映像の流れとしては不要に感じる人もいるかも知れない高所へと上がっていくクライミングや、建物から建物に伸びた足場を伝っていく表現もキチンと描いていて、原作とダブって見えるほど。(原作では潜入→暗殺→護衛との戦いor逃走)

唯一イーグルダイブに関しては、その名称は無くても作品は成立した気がするけど、やっぱりそこで鷲のイメージを付けないと、(原作主人公の)デズモンドの鷹の目(敵や味方の判別が出来る第三の目)の能力も無いし、観客がフードが鷲のくちばしのデザイン=アサシンの比喩で、だから鷲がちょくちょくシーンに登場しているって言う想像が出来ないんだろうな…。

原作では冒頭で「このゲームは異なる宗教、人種、信条を持つ人たちによって製作されました」と言った一文が挿入されているのを考えると(偶然にしろ)今、このタイミングで映画化されたのはトランプ政権批判のメッセージに感じられるし、(暗殺を推奨してるわけではないけれど)反抗する必要性を訴えかけている様にも感じる。

個人的には今回良すぎたことでちょっと不安なのが続編。
アサシンクリードの良さは、時代を経た様々なアサシンの人生を追体験しながらテンプル騎士団に立ち向かうアサシンの話なので、アニムスがあるアブスターゴの施設を破壊した後、次はどうするか(主人公を変えるか、リンチの別の祖先をアサシン教団の隠れ家で追体験するか)気になる。

次回は暗殺した後、人混みに紛れたり藁山に潜って敵の目を掻い潜る描写もあったらいいな…。

神社エール
2017年3月18日

説明分かりやすかったです。ありがとうございました。

巫女雷男