92歳のパリジェンヌ

劇場公開日:

92歳のパリジェンヌ

解説

リオネル・ジョスパン元フランス首相の母の人生を、娘で作家のノエル・シャトレが綴った小説「最期の教え」を原案に、自分の美学を貫き、人生を終える決意をした1人の女性とその家族の姿を描く。かつては助産婦として働き、子どもや孫にも恵まれて、現在は穏やかな老後を過ごしているマドレーヌ。まだまだ元気な彼女だったが、数年前から書き記している「一人でできなくなったことリスト」の項目が増えていることが気がかりだった。そして迎えた92歳の誕生日、マドレーヌは「2カ月後の10月17日に私は逝きます」と宣言し、祝いに集まった家族たちは耳を疑うが、それは周囲に迷惑をかける前に人生に幕を下ろしたいという、マドレーヌの揺らぐことのない強い意志だった。娘役を「仕立て屋の恋」のサンドリーヌ・ボネール、マドレーヌ役をマルト・ビラロンガがそれぞれ演じる。

2015年製作/106分/G/フランス
原題:La derniere lecon
配給:ギャガ
劇場公開日:2016年10月29日

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(C)2015 FIDELITE FILMS - WILD BUNCH - FRANCE 2 CINEMA - FANTAISIE FILMS

映画レビュー

3.5【”自らの死を、自らの意志で、自ら決める。”フランス元首相の母の実話から生まれた重いテーマの物語をユーモアを交えながら描いた作品。だが、ラストは様々な事が頭を過る作品でもある。】

2023年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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NOBU

4.5私たちの社会と、一人ひとりの生き方を問いかける物語り

2022年10月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

『ヨーロッパには寝たきり老人はいない』という本がある。
あちらでは、ヘルパー制度や老人ホームなどを使い、子供を頼らず一人で生活を積極的に楽しもうと努力する。モノが食べられなくなったら特別な治療はせず自然と亡くなるのを選ぶ。そういう生き方をすることが「彼らの誇り」であるという。
日本の老人ホームでは、本人についての措置・判断でさえ本人抜きで子供と担当者で決めるのがふつう。若いときから「まるくおさまるのがなにより大事」と思って自分の考えを言わないで生きているうちに、いつしか「老いたら子に従え」になり、無感動のつらい日々が続いたあと寝たきりになる。認知症にならなければ怖くて苦しくて生きていけないのではないだろうか。

この映画では、老いと闘いながらも人間らしく自立して生きられる時まで生きようと、パリのアパートで独り暮らしをするマドレーヌを、家族は遠巻きに支援する。黒人ヘルパーも対等の関係(「契約関係を結んだ友人」という感じ)でのマドレーヌの相談相手であり協力者である。
マドレーヌが尊厳死の意思を家族に宣言したあと、家族は驚き、とまどい、怒り、嘆きながら、しかし最後はマドレーヌ(母)の意思を理解し尊重してその日にむけて協力する。
特にマドレーヌへの娘の情愛(生きていてほしい!)という願いと母の意思を尊重してあげたいとの間を心が揺れ続け、最期の日を迎えるまでのプロセスは、こちらもハラハラしつらくなる。
しかし、すべてが終わった後、家族にも我々にも静かなさわやかささえ感じさせる。

1年でも、1日でも長く生きさえすれば幸せであるとは限らない。自分の最期までを自分で決めることの大切さについて、私たち日本の社会と、一人ひとりの生き方を問いかける物語りである。

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jackal

5.0家族みんなで観るのにちょうど良い

2021年2月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「最強のふたり」を思い出しました。共にフランス映画です。
本作は女性編ですが、2つの映画とも移民のヘルパーにどれだけか、ユニークに心身共に、支えられたかというストーリー。

自立した女はフランス映画の鑑。
ヘルパーのヴィクトリアが、信頼できてごっつ魅力的!とかく煮詰まってしまう家族の中にいつも彼女が新風を吹き込んでくれる。
まさに「救いは外からくる」ですね。

「終活」のイメージトレーニングに、この映画はとてもいい教材じゃないかな?
家族のリアルな慌てぶりは、我がこととして勉強=予行演習になるので。

母親の“決意”にうろたえる息子と、娘と、孫とお婿さんと。彼ら家族全員のショックと成長が、その年代別に、そしてその立場ごとに、丁寧に描かれていてとてもいい。

・・・・・・・・・・・・

みんないつかは、自分も家族も100%死にますよね。
そうだと知っているのに、看取りも、自身の死も、みんな嘘のように覚悟なし。
こんなに大きな課題なのに、僕ら無責任だったなぁと改めて教えられました。
ほら、
来週の計画を手帳に書き込むように、ちゃんとスケジュールを立てなくちゃね。
(あと、部屋のお掃除とかも、笑)。

むかし特別養護老人ホームに勤めていた僕なのですが、失禁の始まったお年寄りへのフォローは、とても大事な役割でした。
「気にしない気にしない、大丈夫大丈夫、何度でも何度でも、笑顔と、ハグ、
・・安心して僕を呼んでね」。

そんなホームでの生活を久しぶりに思い出しました。

母親の“決意”に苦しむディアーヌを、その気持ちを察して訪ねてきてくれる看護助手の青年。
一緒に走るスタジアム。
寄り添うって、これだよね。素晴らしいシーンです。

そしてもうひとつ、
母子の珠玉の会話です
私が手を離さないかと怖がっていた
今でも怖いわ
落ちそう
大丈夫よ
離さないでね
離さないわ
怖い
怖くないわ

お母さんがむかし娘に約束した言葉を、今は娘が母に語ります。
本当に宝石のような会話です。

・・・・・・・・・・・・

安楽死やら、もうすぐ訪れる僕の両親の終わりの日々についても、新しい情報や心準備のために、いろいろと知識の“上書き”もしてもらえたとても良い作品でした。

家族みんなで、リビングで観るとか◎だと思います。

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きりん

2.5尊厳死

2020年4月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

尊厳死というのは言葉だけでイメージが今までなかったが、こういうことか。
息子というのは案外あんなものなのかもしれない。

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カメレオン
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