愚行録のレビュー・感想・評価
全66件中、21~40件目を表示
普通に驚いた!
何気にAmazon primeで見ました。
冒頭のバス中シーンで「暗すぎる」と思い、妻夫木聡が降りて歩くシーンで「ユージュアル・サスペクツやん笑笑」と興味湧きました。
殺された一家の事件をもう一度検証するところから始まって、証言からあんまり聞きたくない人の愚行のネタがゴロゴロ出てきます。
カフェオーナーの証言で殺された奥さんが学生だった頃の話で「こういう女こそひどいことしてるはず!決定!この人に恨みある人が犯人!」と思いきや...
「え?犯人あなたでしたか?」
ソレは違うんですけど笑笑 怖過ぎー!
後半は謎解きされていくので釘付けです
衝撃度は「ユージュアル・サスペクツ」に似てました。出演者もストーリーも満足です。
一言で言うと「愚行だよ全員集合!」
後味は悪いがもう一度観たい
満島ひかりの演技が不気味で上手い。
ドラマ「カルテット」のすずめちゃんもだが、どこか狂気じみているような闇を抱えた人の役がハマる。
耳を触る癖が何らかの心情か境目を表しているような気もしたが、はっきりとはわからなかった。
田中が調べる事件と光子がどこで交わるのだろうと思っていたら…
そこで繋がるのか!となった時のすっきり感がたまらない。
登場する大学生達、人間味というか性格の悪さが滲み出ている人間が多く、面白いくらい気味が悪かった。
田中が宮村を殴り殺した理由だけはよくわからずモヤっとしている。
やはり家庭環境が複雑だったり虐待を受けていたりした人間は、自分の子どもにも同じような思いをさせてしまうものなんだなと思った。
〈追記〉
自分の解釈が足りないような気がして解説サイトを見たら、田中が宮村を殺した理由含め全てわかってモヤモヤが晴れたので、この状態でもう一回観たい。
主演の2人の演技力がすごい
まず、冒頭から嫌~な空気が漂います。
好青年のイメージが強かった妻夫木聡さんが怖い。バスで注意した人、ちょっと不愉快ではあったけど、だからといって脚が不自由なふりをしてバツの悪い想いを相手に与える…それを瞬時に思いつく当たりヤバい人だなと。
けれど、話が進む内にあれ?仕事は真面目な人?と感じ始めます。するとまた襲ってくる嫌~な空気。
事件の被害者、その周りにはまさに愚行が渦巻いていて不快感たっぷりなのに見てしまう。そんな作品でした。
週刊テラス
・とても重いストーリー。救いようの無い状態にまで堕ちてしまった兄妹。決して良くはないけど、観ていてなんか責める気持ちになれない。
・キャスト陣の演技力がとても光っていた。
・内部者と外部者…。他所から見たらどうでもいいことだけど、似たようなしがらみみたいなことって実社会でも感じる時ある。
・大小様々あるけど、世の中の大半の人は犯したことがあるであろう愚行。過ちを悔いたり反省してするのも大事なことだけど、それを踏まえてこれからをどう生きていくかが一番大事だと改めて感じた。
関わりたくないと思わされる彼らの世界
先に本で読みましたが、重さ暗さが映像でより伝わってきました。
暗いですが、内容を知っていたからなのか…名演技の賜物か…退屈さは感じませんでした。
それぞれの人の視点や妬みの感じ方が違って、人間付き合いなど現実味がありました。高学歴やお金持ちの集まる一流大学の実態は、関わりがないので分かりませんがΣ
内容を忠実に描かれている印象はありましたが、やはり本の方が『愚行録』の意味が伝わってきました。
最後のバスでのシーン…普通に笑って、結婚して…普通の生活を送っている人達を見て、何で自分はこんなふうに普通の人生を歩ませてもらえなかったのか、とやりきれない感情が何とも言えない気持ちになりました。(あくまで私の見解ですが)
ジワジワきて、しばらく引きずる映画です。
ただ、声があまりにも小さくてかなり音量を上げないと聞こえないのが不満でした。。日本の映画を家で観るときの音量の小ささ、毎回悩まされます…改善して欲しいです。。
まさかの…
バスで始まりバスで終わる。
小さな愚行。
幼少期の歪んだ環境の中、兄妹は2人だけの秘密を共有する。
記者の田中は1年前のエリート家族惨殺事件を追う。
同僚や同級生への集材で浮かび上がる人間性。
周りの人を踏み台にしのし上がろうとする人間の姿が映し出される。
良い大学に入れば生活が変わると期待してたい。
しかしそこには階級があり華やかさの裏に醜い嫉妬や憎悪が渦巻く世界があった。
田中は集材を続ける中で妹光子の学生生活の実態を知る。聴くに耐えない事実…兄は妹を庇い罪を犯す。
光子は娘のちひろを虐待し逮捕されていた。
精神鑑定で過去を語り出す光子。
惨殺事件と光子が繋がる。
そして光子の娘の父親が明らかになる時…
兄の愚行録に気づく。
もしかしたら父親も死んでいるのかな?
お兄ちゃんだけはそのままがいい
【愚行録:おすすめポイント】
1.前半と後半で全く雰囲気が変わり、ラストに向けていろんなことが!!!
2.個人的には田中光子役満島ひかりが凄くいいなぁ!!
3.普通にあり得るこの階級社会映画はどう評価すべきか難しい!
【愚行録:名言名セリフ】
1.田中武志役妻夫木聡の名言名セリフ
→「その希望さえも打ち砕く 悪魔みたいな生き物が この世にはいるんです」
2.田中光子役満島ひかりの名言名セリフ
→「お兄ちゃんだけはそのままがいい」
→「私はもう夏原さんにはなれない」
3.宮村淳子役臼田あさ美の名言名セリフ
→「日本は格差社会ではなく、階級社会なんですよ」
4.稲村恵美役市川由衣の名言名セリフ
→「みんな愚かで空っぽなのに」
【愚行録:個人評価=★★★】
★★★★★:今すぐ観るべき‥人生を生きる為の何かを教えてくれる貴重な映画
★★★★:早めに観るべき‥観る人だれにでも感動を与えてくれる大事な映画
★★★:まあ観ても良し‥観る人によっては意味を全く持たない普通の映画
★★:観なくても良し‥単に時間だけを浪費してしまう可能性が高い映画
★:観てはいけない‥観た後に非常に残念な気持ちを感じてしまう映画
暗い
まさしく暗い静かな映画
2つの事件が繋がるというのは典型的パターンではあるし、予想を上回る展開はなかった(妻夫木聡の殺人シーンはビックリしたけど)
まさしく「愚行録」だろう
記者も妹も被害者たちも証言者たちも愚行をしたばっかりにこのようなことに…(読み解きが甘い?分かってる)
演技派キャストで重苦しい空気感がヒシヒシと感じられて見応えがないといえば嘘になるがどうにも物足りなさを感じるのは気のせい?
映画を見過ぎて分からなくなったのか、まだまだ映画を見てないから分からないのか
個人的には「悪人」のほうが震えるくらい傑作であった
人のレビューを読んで改めて
演技はさすがの一言
多くを語らない感じも秀逸
トーンの暗い映像も雰囲気出てるので良し
被害者の女性のほうは明らかに強かなヤバイ女だと思うのにみんな騙されるのよねぇ~
妻夫木聡のタバコで隠蔽するのは怖かった
登場人物たちの「愚行」があまりにも愚かであり、共感しえない
周りにもこういう人間はいるかもしれないし、階級というか格差みたいなのも確かにあるのだろう。
でもリアルさみたいなものは感じることなく終わった。(自分がそういったものに無縁だったのもあるかも)
ありのままの一般的な群像
作品を見ていると、時間の経過とともにどんどん嫌な気分になります。それは登場するキャラクターの殆どすべてが所謂「感じ悪い人」だからでしょう。そういうキャラクターの多さに「人間ってこんなものじゃないはず・・・」と否定したい気持ちが湧きますが、実はその否定感情の方が綺麗ごとでしかなく、案外普通の人間像を描いてる事に気が付きます。
ミステリー作品として筋立てはよく練られており、妻夫木聡さんの感情を抑えた冷淡かつ生命力を感じない演技や、逆に田中光子(満島ひかりさん)の情念的で、ある意味純真さすら感じてしまう存在感は見ごたえがありました。
全体としての出来の良さは理解できます・・・が、私はこの作品が嫌いです。
こういう作品に対して、一定の需要があることに不安を感ぜずにいられない臆病ものなんですよね。自分は。
で、結局なんなのよ
何かね、母親の表情から最後の衝撃を描こうとか、そういう観客頼みなシーンが多すぎなんだわ全体的に。
性的虐待とか一家惨殺とか、スクールカーストみたいなこととか現代の闇みたいなのふんだんに入れりゃいいみたいな安易さを感じる。
そもそも妻夫木が何で妹の満島に手を出してたの?
何からその異常性を学んだの?両親はマトモだったのに彼だけが急におかしい人間性だったの?そんなわけなかろうが。父からの虐待、母からの性的虐待、そういう背景があったんではないの?みたいな疑問が頭をもたげて本編に沿って楽しめない。
筋が通らねー
モヤモヤ感がのこる
ちょっとモヤモヤ感がのこるが考えれば考えるほど気持ち悪くなる話です
兄は妹のした事を全部知っていて、田向一家殺人事件を調べたのかも知れないとかやはり小説読んだ方が楽しめるのかな?でもこういう作品は嫌いでは無いです
題名通り愚かです。
キャストの方々が演技が上手い人が多くて、見ていてしっかり引き込まれました。
原作を知らずに見たのでどんな内容かも分かりませんでしたが、いろんな人の人間模様が描かれていました。
ラストの愚かな行為は、衝撃的でした。
さすがに予想はしてませんでした。
水島ひかりさんは本当に演技が上手いですね。
そしてこの兄妹の過去が本当に本当に悲しいです。
1回観た後にもう一度見返すと全てが理解しながら観れてさらに面白いです。
個人的に、1回目より2回目の方が断然面白かったです。
愚かで、憐れで、惨めで、哀しいから好きだ
アニメ映画や漫画の実写化ばかり話題になる日本映画界だが、本当に話題になって欲しいのは本作のような作品。
また同時に、本作のような力作がちゃんと作られる事に安心もした。
いわゆる“イヤミス小説”の映画化。
一年前に起きた裕福で幸せな一家の惨殺事件。
週刊誌記者の田中は関係者を訪ね歩くと…
事件の背後に浮かび上がる関係者たちの黒い人間模様…ってのは特別目新しいものではないが、やはりどうしても見入ってしまう。
被害者のエリート・サラリーマン、田向。
同僚は彼の死を涙を流して惜しむほどだが、調べれば次から次へと出てくる彼の過去の女性関係。
その同僚と同じ女性を分け合い、就職の為に利用して別の女性と付き合い、元カノとヨリを戻し…。
殺されるほど恨みを持たれるのは当然…?
同じく被害者、田向の妻、友季恵。
才色兼備、大学時代からマドンナ。
しかし、大学という華やかな世界の“外部”から“内部”へ昇格した成り上がり。
魅せられた男も多い一方、彼女に人生を壊された女性も少なくなく、彼女もまた妬みや恨みを…。
羨望からの嫉妬、劣等感。階級・格差…。
渦巻く負の人間模様と交錯して語られるのが、育児放棄で逮捕&精神鑑定を受けている田中の妹、光子。
何やら“秘密”を抱えている兄妹。
その暗い生い立ちは相当なもの。
一見、何の接点も無いような一家惨殺事件と妹の事件。
しかし、意外な繋がり、思わぬ衝撃の真相へ展開していく…。
終始陰のある抑えた妻夫木の演技もさることながら、本作はさながら女性たちの愛憎劇と言っても差し支えないほど、女優陣の演技が光る。
満島ひかりの精神不安定演技はさすが。
友季恵の大学時代を知る臼田あさ美、田向の元カノ・市川由衣も印象を残す。
展開は淡々と。人間関係もちと複雑。
惨殺事件の真犯人、衝撃の真相などある程度予想は付いたり出来る。
が、不穏な緊張感は持続。
見終わった後、人間関係を整理して、伏線など、もう一度見たくなる。
本作でデビューの石井慶監督の演出力は確かなもの。
『凶悪』の白石和彌もそうだが、ダーク・サスペンスを手掛けた新鋭監督は気になってしまう。次回作が楽しみだ。
登場人物誰もが、愚かで、憐れで、惨めで、哀しい。
印象的なのは、序盤とラストのバス車内。
自分たちは愚か。でも、愚かじゃない人間なんて居るものか。
一見普通そうにしてる人々の姿を、スローモーションでじっくり映し出す。
後味は悪い。
だけど、こういう映画がどうしても好きだ。
にしても、キャストの一人に本当にタイトル通りの愚かな行いをした者が居るという笑えない冗談。
でも、演技は見事だった。嫌悪させる演技が。
渦もしくは禍
温度がない…。
どこか虚ろで、どこか流れてて、そこはかとかく諦めてて、早く終わりだと告げてくれと懇願するかのようで…。
真綿で首を絞められるかのように、ジワジワと逃げ場を無くされていくような…何かに侵食されていく…袋小路から抜けだせず、歩きだした先には意地の悪い迷路が広がっているような…。
結果的に公式な記録には、何一つ残っているわけではない。
彼や彼女がやった事柄は、記憶にだけ刻まれている…。
自分だけが知っている罪。
ただ、何というか…性善説を説くわけではないのだが、環境のような渦の存在を否定はできない。
映画の内容を省みるに、登場する人物、台詞を喋る人達全てが、無意識な悪意を孕んでいるようにも見えたりする。
ただ、だからといってそれを回避する術などないように思う。
と…まあ、こういう類の話が好きな方は、好きなのであろう。
俺なんかは、なんでこんな暗い話を金払ってまで観させられなきゃならないんだと、理不尽な怒りに苛まれる。
とはいえ…やはり、両主役ので演技たるや見事なもので、とくに満島さんの独白などは…何が憑依してるんだと思ってしまう。
小出さんの、無責任な青年も良かったなあ。
地なのかと思う程、マッチしてたなあ。
後、音楽が好きだった。
語弊があるな。
音楽の雰囲気と、入るタイミングが好きだった。
そして、満島さんに纏わりつく「手」が、不気味で良かったなあ。
不安だったり、目に見えないモノなんだろうけど、それを「手」として表現してたのが、なんとも言えず…全ては人の所業で、人から意思を持って発信されるモノなのだと言われているようであった。
後半に向けて...
性善説を信じる大人にはズシンと腹に来る映画である。擦れているのか、個人的感想は「こんなもんだ」であった。哀しいが。
愚行者達はあくまでも一見善人に見せかけた仮面をかぶっている。それが社会に溶け込む為の暗黙の掟である。
そんな愚行者達の中で生き抜かなければならないのが人間社会の正体であると思う。誰も守ってなんかくれない。身を守るためには自衛しかないのである。
田中兄弟はその自衛行為を自身の手で行ったのだ。ただそれだけだ。
自衛の手段は人それぞれだ。一家惨殺事件で犠牲となった田向夫妻にしても本質的には同じなのだ。関係を持ってしまった職場の同僚と手を切るための自衛行為。内部生に混じって自分の立ち位置を死守するための自衛行為。
人の犠牲の上に人の自衛行為は成り立っている。自分がその場所を死守するためには蹴落とされる誰かがいる。必然的に。そしてそれは、善人然としていればしているほどスムーズに行われる。蹴落とされた人間は蹴落とした人間からは記憶にも残らない。しかし逆はーーー。
そんな重い内容を考えさせる内容だっただけに、もっと田中兄弟に感情移入して鑑賞に浸りたかった、というのが正直なところ。より耐え難い孤独を感じたかった。努力しても育った環境には逆らえない、という絶望を肌で感じたかった。後半のクライマックスに向かうにつれて、なんだか細かい部分が気になり、少し冷静になったのである。
大学に行くための時頭のよさとか、大学の諸々の費用とか、例の撲殺シーンの軽さとか。
大学に受かり、親との決別を確信する喜びの絶頂から転落していく迄にも様々な葛藤があっただろうし、夏原さんへの憧れもそんな葛藤のシーンがあればより引き立つ気もする。
育った環境の「隠と陽」が影のようにぬるぬると障害付き纏う恐怖と言ったら。
鳥肌と冷や汗
満島ひかりの独白シーンは本当に怖かった。
肋骨の音とかの下りの時、冷や汗がでました。
人を刺した事がある人間の語りのようで
その演技力に圧巻でした。
大学の性悪マドンナと、女を踏み躙りながら
エリートコースを歩もうとする男と
その恐ろしい遺伝子を持つ子供の息も止めた
妹にそりゃそうなっておかしくないよって
少し同情した。けど最後の落ちに驚いたね
突き付けられる人間の性
序盤のバスのシーン。上から目線で「席を譲れ」と命令する男に対して、言われるがまま席を譲りつつも脚が悪いという芝居をした男。「賢いやり返し方だな〜」と思った私もまた愚行者なのだろうか。いや。この映画で繰り広げられる大小さまざまな愚行には、大抵の人が自分と重なる部分を感じるのではないだろうか。だって人間だもの。
主人公の雑誌記者が事件の関係者に取材をする事で、次第に事件の真相が明るみになっていくという展開。なるほど、映画を観ている人も主人公と同じ感覚が味わえるのか〜と思っていたら、な〜んだ。主人公は全てを知った上で取材してたって事なのね?ラストのバスのシーン。証拠隠滅という目的を果たし終えた主人公は、序盤の同じシーンような愚行を犯さない。なるほどね。まんまと騙されました。
よかった
妻夫木聡の甘ったるい感じが苦手だったのだが、すっかり渋みと貫禄が出ていい味が出ていた。最初誰だか分からなかったほどであった。
満島ひかりのメンヘラっぽさが真に迫り、本人としても周囲もつらそうだった。あんな大学に行かなければいいし、行ったとしても上層の連中なんか気にしないで過ごしていればよかったのにとしか思えない。あんな嫌な連中の仲間になりたがった時点で残念だ。
登場人物が感じの悪い人物ばっかりでつらかった。いい面と悪い面を誰しももつものだが悪い面ばかりを見させられてしんどい。
心地よさは皆無。
原作を読んでいないので、終盤に待ち受ける三度の衝撃(真実)に
のけ反った一人である。いや~気持ち悪い。最近ではこの設定を
イヤミスというらしいが、確かによく仕掛けられている。思えば
あのシーン…あ~そういうことなのかと後で振り返れば面白いが、
しかし愚行というからには辟易するまで人間の愚かさを浮き彫り
にしていく展開なので、場面そのものにも心地よさは皆無である。
まず冒頭でグイと掴まれる。映画ファンならすぐ「あ!」と思う
あの名場面がなぜここで…?というあたりから不穏な空気が流出。
主人公の記者・田中の聞き込みに観客の全神経が集中する。また
並行して描かれる田中の妹の告白。これが何を意味しているのか。
なぜこの妹は育児放棄で勾留されているの?という謎もサラッと
解明してしまう衝撃まで、暗くどんよりとグレーがかった色合い
の映像が心まで憂鬱にさせる。あ~早く真犯人が知りたい!誰?
こいつか?なんて思わせる田中の取材が続くけど、誰一人として
善人がいないという…酷い状況。確かに他人を貶めて楽しもうと
いう人間は昔からいるものだが、こうして語らせるとより愚かさ
を間近に感じられ(自らをも振り返り)嫌な側面を見せつけられる。
そして後半に入り突然物事をひっくり返すような場面に出くわす。
総てが判明した後の気持ち悪さときたら特筆もので衝撃を受ける。
(騙される脇役俳優一人一人も選び抜かれた感のあるキャスト陣)
愚行
主演2人の演技に圧巻。壊れてしまった自分を必死に保つ光子と深い闇を抱えながら日常にもぐる田中。この2人にしかできない演技だと思う。
前半、田中が関係者たちに取材していくシーン、みんなわかりやすく愚かで見ていて嫌になった。けれど、宮村から電話がくるあたりから徐々に全てが繋がっていってゾッとした。オープニングとラストのバスのシーン、不気味で印象的。
市川由衣の「誰の子供だと思う?」というセリフや光子の母の「何か勘違いしていませんか」というセリフから推測される真実。セリフとセリフ、愚行と愚行が繋がって見えてくる登場人物たちの本性。
その愚行は小さな嘘、保身のための嘘、誰かのための嘘、そして自分自身を欺く嘘。そしてその嘘はやがて自分の中で本当になっていく。
光子が、一家殺害を独白するシーンで見せる涙は張り詰めていたものが切れ、捕らわれていた手から解放されたということなのだろうか。
ちひろの死を受け、光子が田中と話すシーンの虚しさに涙がこぼれそうになった。
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