ルイの9番目の人生 : 映画評論・批評

ルイの9番目の人生

劇場公開日 2018年1月20日
2018年1月16日更新 2018年1月20日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにてロードショー

単なるミステリーじゃない、“味変”して3回美味しい贅沢な逸品

9歳の誕生日を前にした主人公の少年ルイ(エイダン・ロングワース)に、母親のナタリー(サラ・ガドン)が「猫には9つの命がある」ということわざを引用する。ひどい難産の末に生まれたルイは、一年に一度のペースで生死に関わる事故に遭ってきた。つまり、すでに8つの命を使ったルイを猫に喩えながら、これが最後の命だから、どうか大切にしてほしいと願っているのだ。

残念ながら、ルイは9歳の誕生日に、ナタリーと、別居中の父親ピーター(アーロン・ポール)とピクニックをした渓谷で、断崖絶壁から海中に落下してしまう。奇跡的に一命を取り留めたものの昏睡状態に陥ったルイの担当医となったパスカル(ジェイミー・ドーナン)は、ルイの事故遭遇回数の多さに疑問を抱き、ルイがセラピーを受けていた精神科医ペレーズ(オリヴァー・プラット)に接触する。一方で、事故現場からピーターの姿が消えたため、地元の警察が事件の可能性を探り始める。

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本作は、「なぜルイは“事故多発少年”なのか?」という謎を解き明かすミステリー。ラスト9分で明らかになる意外な真実でインパクトを与えるだけでなく、真実が明らかになった上で、ある人物が採択する行動が、「男というやつは…」的なセカンド・インパクトをじわじわと呼び起こす。オチを知った上でリピートすると、サイコサスペンスに"味変"して楽しめる。

ピラニア3D」や「ホーンズ 容疑者と告白の角」のアレクサンドル・アジャ監督は、ジャン=ピエール・ジュネギレルモ・デル・トロにも通じるダークファンタジーのような語り口で、少年視点で人間心理の深淵に近づいていく。事故現場の海の他にも、水族館のシーンや、クラゲのモチーフ、そして全体を包む深海のような色調が、現在進行形のシーンと昏睡状態にあるルイのモノローグ、そして回想シーンを、波が押し返すようにつないでいく。

高いところから落ちても着地できる猫のようにはいかなかったが、ルイは崖から落ちてもなんとか死にはしなかった。深海であがき続けるかのような昏睡状態のその先には、もうひとつの味変が待っている。一粒で3つの味が楽しめる、なんとも贅沢な逸品だ。

須永貴子

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