劇場公開日 2016年7月1日

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アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅 : インタビュー

2016年7月1日更新
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ミア・ワシコウスカ、「アリス・イン・ワンダーランド」と共に振り返る6年間

すでに全世界で公開され、約255億円超の興行成績を記録している「アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅」。2010年に日本でも記録的ヒットを収めた「アリス・イン・ワンダーランド」の続編となる本作は、前作から3年後の世界が舞台。強く自立した女性に成長したアリスがある日、不思議の国からのSOSを受けて行ってみると、そこには死の床についたマッド・ハッターが。かつて生き別れとなった家族の消息を気に病み、命を削っていた。そんな彼を助けられるのはアリスしかいないと仲間達に泣きつかれ、過去への旅に出る。前作のアリス役を機に、ハリウッドスターとなったミア・ワシコウスカに、本作の裏話を聞いた。(取材・文/よしひろまさみち、写真/堀弥生)

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まず本作を見て驚いたのは、マッド・ハッターが“マッド”ではないことだ。むしろ、本作でアリスがとる行動の方が、ずっとマッドに見える。これについて聞くと「そうなのよ。今回は彼女の方がずっとおかしいの」と語った。

「アリスは父親の船を受け継ぎ、何人もの男の船員を率いた船長になっているの。最初、この設定を知ったとき、“なんで私のところに、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の脚本が届いたのかしら”って思ったわ(笑)。彼女は、前作での冒険を経て、強くたくましく成長し、2年の航海も経験したから、あの時代においては珍しい、今の女性のような自立心を持っているのよ。私としては、アリスのキャラクターを掘り下げて描かれた本作の方が、演じていて楽しかったわ」

ワシコウスカだけでなく、前作に登場したキャラクターは、オリジナルのキャストが勢揃いしたのも見どころのひとつ。6年を経て、ジョニー・デップやアン・ハサウェイらとの再共演に挑んだワシコウスカは、「ジョニーもアンも、以前と全く変わらずにいつもサポートしてくれたわ」と撮影を振り返る。

「前作を撮影していた当時の私は、ハリウッドではまだまだの存在だったけど、そのときも彼らはいつも私を助けてくれていたし、とてもいい雰囲気で仕事をすることができたわ。だから、一緒に仕事をしていないブランクはあったけど、今回もすぐに打ち解けることができた。今回はジョニーが一緒に来日できなくて残念だったけど(笑)」

本作のテーマのひとつに「時間」というものがある。アリスがマッド・ハッターを救うため、時間を司る“タイム”からあるものを盗みだし、過去への旅に出るのだ。劇中のテーマにリンクし、本作の公開タイミングは、6年を経ての続編製作ということや、この6年間の彼女の活躍を振り返るいい機会でもある。

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「私のキャリアにおいて、前作はとても重要な作品。あれをきっかけに、女優としての仕事はガラリと変わったんだもの。感謝しているわ。でも、私自身はそれほど変わったことはないの。たしかに仕事でいろいろな国に行かねばならないから、忙しいと言えば忙しいんだけど、拠点のオーストラリアは離れていないし。オフのときは、弟と一緒に暮らしているシドニーにいるか、家族の住むキャンベラを訪れるか。そうやって自分を保っているの。確かに本作に出演したことで、この間のキャリアについて振り返るいい機会になったわ。今回のアリスみたいに、航海に出て戻ってみたら、会社はアリスを必要としなくなっていた、みたいな浦島太郎的なドラマはないんだけど(笑)。でも、前作から今作に至るまでの間に得た経験で、私は着実に成長したし、少し大きくなったかな、と思えるようになったわ。一番変わったと思えるのは、自分の価値について考えられるようになったことかしら。対外的に、私がどのように評価されているか、どういう価値をもった女優か、ということに目を向けるようになったし、それが私の仕事への自信にもつながっているの」

この作品ではもうひとつのテーマとして、女性の社会的自立・平等についても語られている。女性好みのファンタジックな世界観に加え、現代に生きる女性に向けたメッセージ性が強いストーリーに仕上がっている。「じつはこの夏のハリウッド映画は、女性主人公や女性向けの映画っていうのが、公開作の12%以下しかないのよ」とワシコウスカはこぼす。

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「そういう意味で、この作品はとても貴重な女性映画だと思うし、夏の映画界を華やかにいろどる作品でもあると思うの。今、ハリウッドで働く女性の間では、女性の平等を訴える動きがあるんだけど、私は特にいい時期にこのような作品に出演できてラッキーだと思っているわ。私のキャリアの中で特別なキャラクターであるアリスの成長を演じられたし、それとともに今も昔もあまり変わらない環境で仕事する一般の女性へのメッセージも発することができたんだもの」

では、彼女にとってのロールモデルとなる女性は誰なのだろうか。すると、真っ先に「おばあちゃん!」と挙げてくれた。

「私の祖母は、とても家族思いでやさしく、それでいて強い女性。だから、私にとって祖母は、人生のお手本なの。もちろん、同業者の先輩達の中にも、私が憧れる存在がいるわ。独自のキャリアを築いてハリウッドでは異彩を放っているティルダ・スウィントンでしょ。それにやはり同じくとてもオリジナルなキャリアを持っているジュリアン・ムーア。彼女とは一緒に仕事をしたときに(『キッズ・オールライト』で共演)、女優としても女性としても本当に素晴らしい人だって感じたわ。今でも彼女のことは家族のように親しみを持っているの」

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