劇場公開日 2016年6月25日

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「尾行生活、妙なドキドキ感を味わえました」二重生活 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0尾行生活、妙なドキドキ感を味わえました

2018年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

難しい

発想はなかなか面白い映画でした。
修士論文を書く為に、哲学的尾行を行う・・・って、それはにわかには信じられませんよね、尾行される側からしたら。
尾行は警察か探偵か変態が行う以外想像がつかなかったので、発想はホント面白い映画だったなと思いました。
まあ自分の足で尾行したいと思ったことは無いですが、でも他人の生活を覗いてみたいと言う欲求は、大なり小なりきっと誰しもがあることだと思うので、とりあえずとても興味深い内容ではあったかと思いましたね、そして妙にドキドキもさせられました、とにかく門脇麦が演じた主人公・珠の尾行が思いっ切り素人丸出しのド下手な尾行だったので・・・。

でも、だからこそ妙なドキドキ感を味わえたのも間違いない事実、まるで自分が尾行しているかのようにドキドキさせられるこの演出、ある意味ノセられてしまいましたよ、確かに素人が初めて行う尾行ですから、上手くなくて当然、そしてその先にあった他人の生活が、秘密が、表の顔とは全く違っていたりして、何かこう・・・いけないものを見てしまった罪悪感のようなものまで味合わされてしまいました。
主人公目線で視点が推移するカメラワークもまた見事でした、おかげで本当に尾行しているかのような気持ちにさせられましたから、そしてやっぱり尾行なんてしないほうがいい、他人の生活なんて覗いたって何の得にもならないと言うことを、改めて思い知らされた映画でもありました。

尾行した側と、尾行された側の言い分の違いも、またちょっと面白かったです。
長谷川博己が演じた石坂の言い分がまさしく言い得て妙、逆に珠の方は・・・その辺で不快感を持った方もきっと少なくないでしょう、哲学って一体何なんだろうなぁ、いろいろと講釈語っていたけど、全然耳に入ってこなかったです(苦笑)
そんなへんちくりんな大学院生を演じた門脇麦の演技がホント秀逸でした、表情でモノを語ってしまう演技に思いっ切り惹き込まれてしまいましたよ、そして体具合も含めて妙にエロい、ただ美人なだけの女優と違っていろいろと武器を持っている女優さんですよね、長谷川博巳も相変わらずエロい、キレっぷりも目が冷たいので余計に怖かったなぁ・・・。

教授役のリリー・フランキーもいつもながらに味のある演技でした、ただ教授に纏わる部分が私の理解力不足もあってもう一つ掴めないところがあったので、ちょっとそこは残念でした、掴めない感じがリリーさんらしいとも言えますけどね。
珠の恋人役・菅田将暉は地味な役どころでしたが、こんな引いた役どころも何気に上手いね、でもまあ珠は間違いなく悪いけど、見ていて卓也にも特別共感するところまではいかない、何とも空虚感漂うカップルだったなぁ。
まあ何にしてもハッピーな気分を味わえる映画では無かったですが、何かと興味深い内容の映画ではありました、手放しで称賛まではできませんが、ついつい見入ってしまう映画ではあったかと。

スペランカー