劇場公開日 2016年4月29日

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「日本とハリウッドのSF作品の決定的な違い」テラフォーマーズ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0日本とハリウッドのSF作品の決定的な違い

2016年5月8日
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鑑賞方法:映画館

単純

最近のハリウッド映画、アメコミばっかじゃん…と、よく言われるが、日本映画だってコミックの映画化が多い。
日本のコミック実写化は今、ざっくばらんに2つの主流がある。もはやヒットブランドである少女漫画作品と、実写化が伝えられた時から賛否吹き荒れるSF作品。
少女漫画の実写化は、今旬のイケメン俳優やキレイ・カワイイ所の女優を起用し、若い女性層を中心にそれなりの成績を上げる。時には20億~30億のビッグヒットも。
設定やシチュエーションに無理あっても、一応等身大の世界観なので映像化し易いという利点もある。
一方のSFコミックは…。
よく叩かれるのが、CGやアクションがショボい、ハリウッドと比べるとレベルが低い…などなど。
これらは仕方ない事だと思う。
そもそも、ハリウッドとは予算がまるで違うのだから、どうしてもクオリティが低くなるのは当たり前。
例えば「進撃の巨人」は映画の出来は別にしても、ハリウッドの10分の一以下の予算であれだけのCG技術を見せられるのはむしろ立派だし、日本もハリウッド並みの予算を注ぎ込めばハリウッドにも劣らない迫力を作り出す事が出来ると思っている。
では、日米SF作品のレベルの違いは?
それはもう、根本的なもの、演出や脚本に問題あり、と本作を観て確信した。
登場人物たちの背景も一応は描かれているものの、薄っぺらく、主役級以外はまるで踏み込んでいない。
始まって5分も経たないで火星へ出発。観客置いてきぼりの展開には呆然とした。
そして何より、演出が酷い。
闘志さえ燃やせば何とでもなる、と言わんばかりのクサイ演出。
ドラマもスリルも盛り上がらない。
いや、一応スリルはある。でもそれはあくまで“アクションの見せ場”としてのスリルだけであって、“話の面白味”としてのスリルは無い。
そこら辺、「シビル・ウォー」は素晴らしかった。
ハリウッドのアメコミ映画だって下手すりゃ馬鹿みたいなコスプレ。そうならないのは、根本的な作りの巧さ。
「シビル・ウォー」なんてドラマとしての見応えもあり、スリルも最後まで途切れず、見る側を引き込んで離さない。(「シビル・ウォー」を先に見ちゃったのも本作が見劣りした原因の一つだけど)
「ヤッターマン」もそうだが、つくづく三池にはSFのセンスは無い。
主題歌に超人気グループを起用し、話題性のみで集められたような豪華キャスト…あざとい客媚びが見え見え。
で、キャスト陣が演技力に差が有り過ぎ。
演技力に難ありの武井咲、篠田麻里子らが瞬殺されるのはナイス判断。
(武井咲なんて、あんな役なのに何でキャスト・クレジット2番目なんだ??)
主人公の伊藤英明も「海猿」と全く変わらない暑苦しいだけの演技。
山田孝之、滝藤賢一、菊地凛子らはしっかり自分の仕事をしていたが、意外にいい異彩を放っていたのは、小栗旬。彼の怪演無ければもっと目も当てられなかっただろう。イケメン役より、個性的な役の方が合ってるかも。
題材や設定は確かに面白味がある。
少なからず、童心くすぐられた箇所も。
それなりに見せ場も盛り込んである。
ゴキちゃんの造型もユニーク。ゴリマッチョな人間風で最初はドン低くが、あのつぶらな瞳が見てるとちょっと可愛くなってくる。
突然ひょっこり姿を現す登場シーンも面白い。
虫のうんちくは興味深かった。(死なない虫が居るんだ…!)
でもそれらも、根本的な作りのまずさのせいで決定的なまでに潰されている。

つまり、くどくど何を言いたいかと言うと、(メッチャってほどではないにせよ)つまんなかったって事。

近大
としぱぱさんのコメント
2016年9月21日

コメントありがとうございます。
原作が好きなのもあって随分迷ったのですが
見ちゃいました。
おっしゃられる通りシンゴジラとほぼ同じ予算で
これって単純に監督の差だけってわけなんですかね。
やっぱり商業監督が原作にオマージュがないまま
撮影してしまうのが原因かと。
原作に愛がないとダメですね。

としぱぱ