劇場公開日 2015年6月20日

「あと味が悪い作品」ターナー、光に愛を求めて スイートピーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0あと味が悪い作品

2015年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

ターナーが、あまりにも有名で、その美しい作品の印象が強いせいか、
映画の中のターナーのあまりの醜さに、見終わったあとの後味の悪さが
残った。

ターナーの、絵を追及する姿勢の凄さや、革新的とも言える作風が
当時の人々に受け入れられずに迫害される姿は、印象に残る。
死の直前まで描き続けた絵描き根性は、人並み外れている。
ターナーの名画の数々が美しい映像で流れて、うっとりもするし、
人々の服装も時代考証されており、それなりに説得力がある。
ただ、唾液を吹き付けて描いていたが、本当だろうか?
油絵は水分とは分離するから、ありえない描き方だ。

全編を流れる、女たらしのスケベ爺さんとしての
ターナーの描かれ方は、いやらしいというしかない。
家政婦にたびたび手を出して、欲情のままに振舞ったり
(今でいうセクハラそのもの)、宿泊先の未亡人と色恋沙汰になったりする。
妻子には冷淡で非情なのに、目をつけた女には・・・って、
本当なのかと、むしろ疑問。
(実際のターナーは生涯結婚はせず、ツーショット写真も残っていない)

脚色、過度の演出により、見せ場を創ったのだろうが、
ターナーの詩情あふれる絵が出てきたあとに、変態おじさんのような
ターナーが出てきてげんなりだ。
ターナーのイメージをぶち壊しにされてしまった。
鼻をブタのように鳴らすのも、気持ちが悪かった。
これらが、もし事実に近いとしても、もう少しぼかして描くなりするべきだろう。

スイートピー