劇場公開日 2014年12月20日

「愚かな母の悲しい結末」エレナの惑い 星のナターシャさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0愚かな母の悲しい結末

2015年3月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

冒頭、冬の早朝の張りつめた空気の中、
鳥の声に混じって一発の銃声と
やがて遠くから救急車のサイレン。
カメラは裸木越しに、コンクリートのベランダから
生活感の乏しい高級マンションの室内に入って行く。

その一連の流れがこの映画の恐ろしさと
どうしようもない悲劇を感じさせる。

主人公のエレナは元看護師と言う設定なのに
其の息子の内面の崩壊の甚だしさはどうだろう。
看護師さんの息子がみんな立派だとは言わないけど
それなりに努力と献身が必要な仕事をしていた母の背中を
全く観ていなかったのか〜。
それとも、裕福な夫と再婚して10年、
エレナ自体が金の虜になってしまった結果の
息子の内部崩壊なのか〜

エレナの愚かさがやがては孫にまで伝播し
間もなく大学生になる孫が、ベランダから観ているのは
冒頭の銃声との関係を思わせる若者達の姿、そして
父と同じ内部崩壊を思わせるある行為。

更にはその兄弟の赤ちゃんの上にも
やがて悲劇を呼び寄せる事を案じさせて映画は終る。

何と言う救いの無い映画だろうか〜

貧困は連鎖すると言われるけど
貧困で完全に内部崩壊してしまった者にお金を渡したところで
そのお金で立ち直るどころか
更なる悲劇を呼び寄せるだけなのだなあ〜〜
貧困とお金の罪の重さをつくづく感じてしまった。

星のナターシャ