野火のレビュー・感想・評価
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塚本晋也の世界の自主制作。
原作はあれど、脚本、監督、制作、編集、撮影さらに主演をこなすというドランさんもびっくりのマルチっぷり。グロさで悲惨さを追体験させることは、一見ただ過激さを狙ったように捉えられがちだが、とても戦争映画を描く上で大切な役割を果たすものだと思う。これまでの、塚本晋也が云々無しに、ものすごい作品。映像の色味、震えにもう一度みたいとは良い意味で思わせない作品。たった87分の長さが、ものすごく長い感覚がした。これは、『それでも夜は明ける』以来の体験かもしれない。良い意味で、怖い、純粋に怖い映画だった。
たぶんバランスが悪いんだ
時間があったので劇場をフラッと覗いて鑑賞
予備知識が全然なかったので開場までの時間を使って、公式HPなどで情報収集
観客はどちらかというと年配の方が多かった印象でした。59年にも一度映画化されているとのことで、「そのリメイクだ」ということで観に来ている方が多かったと考えています。
塚本監督の作品は「鉄男」「殺し屋1」を見ていて、『グロイ作品を撮る監督だ』というイメージを覆してくれることを期待していました。
肝心の感想は「最終的にグロイ映画だった・・・」です。
監督自身は「過酷な戦況」を表現したかったのだと思いますが、そのインパクトが強すぎて、そのあとのメインテーマ(食人)が全然入ってきませんでした。
自分の感想
STEP01:過酷な戦況(うぁ、結構リアルに殺すなぁ)
STEP02:過酷な戦況(うぁ、ハチの巣だぁ、脳みそ出ちゃってる、殺し屋1でもこんな感じだったなぁ)
STEP03:過酷な戦況(つーか、観に来ている、おじいちゃん達大丈夫かな?『こんな映画観に来たんじゃ無い!』とか怒ってないかなドキドキ)
↓
STEP04:食人(あーおじいちゃん達ダイジョブかな?自分は耐性あるけどドキドキ)
原作が古いことを考えると、ある程度年配の方々が観ることを考えて、戦争描写はある程度マイルドにしたほうが、よりメインのテーマが伝わると思います。(グロイ映画を見に行ったわけではないので)
演出過剰
良くない映画に共通するのは、大げさな演出である。「リアリティ」とはもっと静かな説得力であると、いろいろな映画を思い出しこの映画を見比べて思った。まず、これでもか、これでもか、の押しつけがましい”恐怖”(つまり大音響)に辟易した。つぎに兵隊たちの言葉使いが気になった。せりふの指導はなされたのだろうか。全員が東京言葉。その時代、東京出身以外の兵隊もいたろうに。それにせりふが軽い。”人肉喰らい”が原作「野火」のテーマであるが、映画ではやはり戦争そのものに吸引されなくては説得力は出ないのではないか。その点から、戦争全体を見とおす視点が欠けていることも指摘しておきたい。若者(らしい)たちは簡単に「傑作」と言うが、ショッキングな映像が「傑作」ではないことは言うまでもない。
チープな人肉映画
戦後70年、各メディアで取り上げられている日本兵の姿は、目に圧倒的な力があり、姿勢正しく、愛国の精神に溢れていています。国のため、愛する人のために命をかけて戦ったその想いは、戦時中の写真などからも感じれるほどです。それに比べこの映画は日本兵の誇りや精神を全く無視し、終始「人間は究極の飢餓状態になれば人肉まで喰うのか」というテーマで描かれています。滑稽なほど血肉に拘り、カメラを向け、戦争がいかに残酷なものかを植え付けたいだけの映画です。内容も何もありません。若い監督だとこんなにも浅くチープなものになるんでしょうか。あまりにも後味が悪く、憎悪感まであったので、深夜から上映されていた「日本で一番長い日」を続けて観に行きました。戦争で亡くなった日本兵の方々のおかげで、今の日本、平和がある。この監督さんもそれに気づいていれば、こんなバカにした映画は作らないはずです。出演者の口調も今風のチャラい感じ「○○がよ~」「○○でさ~」って…。笑ってしまいました(笑)近年まれにみる駄作です。
是非みんなに見てほしい映画
凄い…戦争とはこんな凄惨なものかと思った。
野火は昔から愛読書だったので、監督が戦争の体験談を血肉にして描いた作品と聞き、とても楽しみにして観に行った。
最近の映像はわざとエグいシーンはカットする風潮にある。
しかし、この映画はこれでもかって程の描画。手足が吹っ飛ぶと読んでも実際にイメージが出来なかったが、こういうことだったのか、と。見渡す限り死体の山。現実はこれに臭いが加わるのだから、どれ程悲惨なものであったのだろう。昔の映画「野火」では描けなかった、カラーだからこそ描ける戦争のむごさが十二分に現わされていたと思う。
私は戦争体験者ではないので戦争の悲惨さは想像することでしかできない。しかし、その想像を遥かに超えていた。きっとこれが真実だったのだろう。
死ななくてもいい命が無謀な上層部の作戦の為、たくさん南国で散っていった。戦って死ぬのではなく、ただ飢えて、逃げ惑って一方的に虐殺されて。挙句の果てに同じ日本兵を殺して肉を食らう。。いったい彼らの命はなんだったのか。見ていて涙が出てきた。
映画が終わった後も凍りついたみたいにみんな身動きせずじっとしていた。
こんなことが大昔ではない、たかだか70年前に起きていた真実。体験者がまだ生きているという歴史上では最近の出来事。
あまりにも戦争というものが風化されてはいないか?
お涙ちょうだい的な映画が多い中、戦争とは凄惨なものであると伝えてくれる映画だった。
期待以上の出来に大満足。DVDが出たら絶対買う。もう一度原作を読み直したくなった。
是非とも今の若者たちに見てほしい映画だ。
戦争の「狂怖」
未だに言葉に消化できない、というのが本当のところですが、戦争の「狂怖」をこれでもか見せつけられました。
映像の暴力と言ってしまえばそれまでですが、映画が反戦のために訴えられること、戦争に意義などあるのだろうか、ということを深く考えさせられました。
塚本晋也監督は、役作りのために相当減量したために演技に集中できなかった、とパンフレットで述べていますが、逆にその朦朧さが現実味を増し、自分はまだ正気なのか?という田村の行動として、上手く映えていたと思います。
戦時中を過ごしてきた方は今現在70歳以上、実際に戦地に赴いた方々はおそらく90代前後、もはやその記憶を語り継がれる機会は今しかないのではないか、そんな思いも伝わってきました。
今回観賞に足を運んだユーロスペースのある渋谷は、煩くて頭が痛くなるような狂気さえ含んだ街、と常々感じていましたが、今作を観た後では、そんな喧騒すら平和に感じられました。
在り来たりな日常を、奪い、壊し、燃やしてしまう、それが庶民や兵士にとっての戦争の本質なのではないか、と思いました。
演技が・・・
すみません、セットや役者が現代の満ち足りた感が出ていて、いくら顔を汚しても臨場感がなくて白けてしまいました。
リアルな生々しさとどアップでガタガタ揺れる画面にわざとらしさを感じずにはいれませんでした。
私の映画のツボは演技にどれだけ没頭しているかで、その視点からだと顔にすみ塗った綺麗事感が最後まで拭いきれず、途中退屈で寝てしまいました。
楽しみに見ただけに残念です。
『永遠の0』なんて観てる場合じゃない!
凄い…戦争は各々に「忘れたくても思い出せない」何かを植えつけてしまうものであるということを凄惨に—つまり誠実に—描いた怪作。『永遠の0』みたいに「尊い犠牲の上に今の平和が成り立ってるんだよ。乳寄せまっせー!」とか言うてる場合じゃない。これこそ大作で製作されるべきだ!
「忘れたくても思い出せない」っていうのは日本語間違いじゃない。赤塚不二夫リスペクトや!
監督・脚本・編集・主演の塚本晋也は素晴らしい。でも『野火』という作品に対して「自主製作だからこそ出来た」なんて褒め方をせんといかんのが寂しい。だからこそしない!
正直プロダクションバリューが物足りない点はある。気合を入れたであろう見せ場のゴア描写はやり過ぎてギャグスレスレになってる感も。でもそんなことはどうでもいい。これこそ戦後70年の今だからこそ観ルベキ作品。本当に『永遠の0』とか観てる場合じゃない。だって百田尚樹だぜ?
尊い犠牲の上に成り立つ平和より戦争が無い平和の方がよっぽどいいだろうが!
なんて言うと左っぽいけど俺は右でも左でもないところに居たいと常々思ってます。どっちも危なっかしいんよほんまに
終戦70周年記念番組より『野火』を観よう!こんなに「意味」のある作品は滅多にない
凄まじいまでのリアル
そこに転がっている死体がリアル極まりなくて、
それが一つまた一つと映される度に作品への没入度が増していく。
そこに広がる戦争という現実。
とても考えさせられた。
あの時、高潔なんてありやしなかった、保てやしなかった。選ぶなんて出来やしなかった。
見続けていると、また一つまた一つと積み重なっていく。逃げ場なんてありはしない。
凄まじいまでのリアル。
塚本晋也、やはり凄い監督だ。
人物描写、心理描写、背景描写、
どれも妥協なんてされてない。
トコトン勝負されている。
観れて良かった。
改めてあの戦争はなんだったのか、
よく考えよう。
戦争の悲惨さは判るけど…。
オブラートで包まなくても良い所で包み、包んだ方が良い所は包まずという感じか?
微妙な感じだった…。
生きて良かったという感じが欲しかった気もするが、後悔しか残らなかったのだろうか?
20代までの若い方々に
つい先ほど観たのですが…打ちのめされました。
原作は若い頃読んでいたにもかかわらず、です。
血、肉、蛆、飢えと渇き…圧倒的な映像でした。
いま、茫然としながら帰っています。
戦後70年経ち、語り部がいなくなってしまう今、
若い方達に観て頂きたいです。
ご年配の方、本当に多かったですが、
心理的に大丈夫かな…と思いました。
没入感に臓腑をやられる怪作
世界から見捨てられ、自らも世界をただ傍観しているような主人公のせいで、観ているこちらの現実感までが脅かされていくような映画だった。終盤になるにつれて妄想や現実の線引きが曖昧になって、しまいにはどうでもよくなってしまう。
あらゆる悲惨にドラマはなく、ただなしくずし的に、あるいは唐突にそれらは起こり、人の肉体や精神は壊れ腐り崩れていく。けれども、彼らを取り囲む自然は泰然として鮮やかに美しく、彼我のコントラストは残酷で滑稽だ。
幕が下りても、腐臭漂う密林に引きずり込まれたような疲労感は簡単に去ってくれない。いまどきのキレイでウェルメイドな戦争映画ではまったくない。個人的にはステレオタイプな反戦ドラマにも戦争メロドラマにもさしたる興味はないけれど、これは観ておいてよかった。
出演者
栄養状態良すぎな人ばかりな気がした。
人をも食べてしまうかもしれない極限状態を描いている筈だが...?
どうせ演技下手な人起用するんならガリガリの素人さんだったらもっと低予算で済んだのに(セリフも少ないし、ハキハキ喋る必要ないし)。
原作読んでみようという方が増えたらこの映画も意義深いものだと思います。
これでもマイルドなんだろうな…
死んだ爺さんには銃創の窪みがあって、一言も戦争について話すことは無かったなぁ…と思い出した一本。
赴任地は、全く同じ地区。
「戦友会」としての付き合いで、30年くらい前に再訪して。
やっぱりそこでの思い出を聞いても、答えてくれなかったなぁ…
爺ちゃん子で、なんだかんだでド無口な爺様(今、不惑間際でクソ似てるのよなぁ)と一緒に、説明もなく岐阜まで戦友に会いに行くのに付き合ったり…
(そこで会ったおじいちゃんに、いい子のご褒美で生まれて初めての「ジャンプ」を買って貰ったのよ、黒岩よしひろ氏のヴァリオンって漫画が始まった号だった)
その人も聞いても戦場のことを話してくれなかったのだけれども。
逆にやたらと話をしてくれた方は…議員さんとかになってたな…
映画とは関係無い話をしたけれど。
四十手前にそこまで想起させる作品の力を受け取った。
物語的には、筋は?と言う意見も出るだろうけれど。
「戦争は絶対いけない」とか簡単に言うけれど。
当時は国、今だったら核家族の信念を護るために闘った(善悪は別次元でね)貧乏国家ニッポンの男たちの姿を。
例え現実はもっと過酷だったとしても、伝えてくれる作品。
もしも自分だったら
ずっとそう思いながら見ていた
もしも自分だったら、主人公の田村一等兵ほど長い間正気を保っていられただろうかと
同じ状況には絶対なりたくないと強烈に思わせる、という意味では最も効果的な反戦映画かもしれない
映画としては、音楽の使い方やグロテスクシーンの感じがカルトホラーやホラーゲームのようにも感じた
しかし、単純なグロさの強調ではなく、極限状態の中で精神を病んだ兵士が実際に感じた光景としてこのくらいの強烈さが必要だったのだろうと思った
現実はきっとこれよりもっと酷かったのではないかと思うと、見終わった後に気分の悪さだけでなく、やりきれなさが残った
焼き増し感。
市川崑監督の「野火」は数年前に観ている。細かいところまで覚えている訳ではないが、何故リメイクという道を塚本監督は選んだのだろう。
監督が伝えたいメッセージがあるのであれば、違う素材(原作)で料理してもらいたかった。
鑑賞して、嫌いではないけれど、新鮮さに欠く、と私は思いました。
極限状態
派手なドンパチじゃないけれど、これも戦争の一片。人間のグロさと残酷さが重くのし掛かってくる。戦場の狂った環境の中で正しい選択ができるのか。映像としても生々しい肉片、血飛沫、死体の描写が多く観るには覚悟が必要。
ビルマの竪琴と合わせて観たい感じ。
戦争は人を獣にさせる
『アメリカン・スナイパー』で思い知らされた、「戦争は人の心を蝕む」。
ならこの『野火』は、もっと酷い「戦争は人を獣にさせる」という事か。
兎にも角にも、全編通して、恐ろしすぎて怖すぎる。こんなの、どんなに怖いホラー映画より恐ろしいと思う。
人が人を食う、という事実。しかも敵じゃなく味方を。考えただけでゾッとする。
戦争は、人を凶器に変える。安保法案賛成で保守派の私でも、観た後に色々考えさせられる一本だ。
それにしても塚本カントクが1人6役ってすげーわ。
あと、元BJCの中村達也がいつの間にか俳優やってるっつーのも驚きじゃわ。
期待通り、予想通り
美しい自然と壮絶な肉片は、文に劣らないくらいの衝撃度です。
感じる嫌悪感が凄まじく、反戦というものを超越し、戦争への憎しみしか感じ得ません。
グロいです。美しいのにグロいからたちが悪い。原作を尊重した結果で見事なくらいです。ただスプラッターです。
大日本帝国だからこんな愚考を犯したとは思いません。戦争だから人がケモノになったんだと感じられます。そして例外なく戦争を否定したくなります。
美しいのはそこにある事物だけ…そこに介入していく行為全てが醜悪なんでしょう。
雰囲気とかテーマに沿うためだと思うけどカメラの撮影が荒いシーンが何...
雰囲気とかテーマに沿うためだと思うけどカメラの撮影が荒いシーンが何度かあったところが嫌だ。
原作を読んでないから色々言えないけど固まった物語の展開を作ってないから途中分からなかったセリフの少なさかなぁ。
戦争の映画だから、そういう風にしたんだと思うけど。
あとPG12じゃちょい厳しいやろ。
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