「和製ゾンビ映画でこんなに凄いものが作れるとは…」アイアムアヒーロー 神社エールさんの映画レビュー(感想・評価)
和製ゾンビ映画でこんなに凄いものが作れるとは…
数年前に原作既読済。
事前にWOWOWぷらすとで絶賛されていたのを聞いてはいたものの、最初はあの原作を今の邦画の業界の中で再現するのは無理じゃないかと半ば地雷を踏む位の気持ちで観に行ったけど結果、大満足で劇場を出ることが出来た。
規制が多い今の邦画業界の中で、流血描写や人体損壊シーンが数多くあるこの作品を出来るだけ再現しようと工夫していて、個人的には「サイコ」の様な製作陣と映画関係者のやり取りがあったのかなと想像してしまった。
原作を初めて読んだ時は一巻後半まで売れない妄想倒錯気味の漫画家の日常マンガなのかと思っていて妄想と妄想の間に挟まる異常さが本当に現実なのか曖昧な中で、恋人の家に訪ねに行った後の展開の衝撃に興奮したけれど、映画版はその部分にそこまで時間をかけず、全体的なテンポを優先させたのが逆に良いバランスになり二時間以上の上映時間をあまり感じさせなかった。
原作とは違って、自分の周りで全く認められない日常で英雄と言う名前であるが故に"英雄"になりたがる英雄が最終的に"英雄"として称賛されたのが、"英雄"を意識せずただがむしゃらに行動した結果ってのは王道で燃える展開だけど、東京ポッド許可局5/1放送分「不謹慎ゾンビ論」を聞いていると3.11以後、今のSNS社会での"正義"とは何かって言うメタファーにも感じられたなあ…。
個人的には今まで観た日本のゾンビ映画の中でもベスト(2位はZアイランド、3位は幽霊ゾンビ)、世界のゾンビ映画でも10本の指に入る位ゾンビ映画らしい興奮、笑い、テーマ性と見事な出来だった。
是非続編があればこのスタッフで製作してもらいたい意欲作。
もう一度、映画の内容を全てを知った状態で観に行っても面白そう。