劇場公開日 2017年2月3日

「凡庸な悪」虐殺器官 パッチワークすさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0凡庸な悪

2017年3月24日
iPhoneアプリから投稿

結果として「こんなことはもうたくさんだ」としてそのために憎しみや貧困に覆われた世界を切り離す作業、ある点ではナチス・ドイツ級の括弧付きのモラーリッシュな使命として'虐殺'の文法を埋め込むジョンはハラペーニョピザを注文し、自分の妻や子どもたちに世界の現実など知らなくてもいいとする立場と共犯関係にある。しかし、彼らの生活はその憎しみや貧困の上に成り立っているのであり、おそらくこの世界は不調和に覆われるだろうが解体することはない。
彼は認知する世界のために、多数の世界を犠牲にするのである。
その上でこの映画のラストは原作と映画が逆転しているーと感じた。映画は世界的な希望を残した。シェパードは告発することを選んだのである。ハラペーニョピザを注文しあらゆる搾取のもとに成り立つ世界に「これはぼくの物語だ」と宣戦布告した。その上で原作はもっと個人的な希望であったと感じる。でも前作映画「ハーモニー」と、これでは接続しないのでは?

パッチワークす