劇場公開日 2015年11月21日

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「タイプの異なるアニメを巧みに織りあわせ」リトルプリンス 星の王子さまと私 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)

3.5タイプの異なるアニメを巧みに織りあわせ

2015年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

母と女の子のふたり家族。
娘の将来を慮ってか、毎日毎日計画的に過ごして、有名私学に入学しなさいと、少々(どころかかなり)堅苦しい家族。
有名私学に入学するために、引っ越した家の隣に住んでいたのが変人爺さん。
彼は元飛行士で、むかし、小さな星に暮らすリトルプリンス(星の王子さま)と出逢った、と女の子に告げるのだが・・・というハナシ。

老飛行士が女の子に絵手紙で綴る星の王子さまの物語が、本家サン=テグジュペリの『星の王子さま』。
このアニメ部分が秀逸。
木彫のストップモーションアニメのようなデザインで、美しく、この部分を観ているだけでかなり満足。

対して、女の子をはじめとして老飛行士のデザインなどは、目が大きくて、なんだかあまり好きになれない感じ。
とはいえ、ハナシの語り口が上手いので、それはそれで飽きない。

このふたつの造形タイプの異なるアニメで楽しませるだけかしらん、と思いきや、後半、病気になった老飛行士に代わって、女の子が星の王子さまに逢いに出かけるあたりから、またもや転調。
おとなになって子ども時代を忘れてしまった星の王子さまの世界は、ティム・バートンを思わせるダークファンタジーの世界。

「子ども時代・子ども心を忘れない」というテーマはありきたりだけれど、タイプの異なるアニメを巧みに織りあわせてのストーリーテリングは、最後まで飽きることがありませんでした。

なお、大きくなった星の王子さまのキャラクターデザインが、成長した『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルそっくりなのには、驚きました。

りゃんひさ