「追悼・5万回斬られた男」太秦ライムライト しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
追悼・5万回斬られた男
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DVDで鑑賞。
“5万回斬られた男”の異名を持つレジェンド俳優、福本清三さんの初主演作。斬られ役一筋50数年―。福本さんの生き様をそのまま投影したような役柄に涙が溢れました。
一生懸命やっていれば、どこかで誰かが見ていてくれる…。
時代劇が減って行く現実―。居場所が失われていく中、若者たちに希望を託し、一世一代最後の大舞台での斬られ様は、儚くも美しく散っていく桜花の如く、心を揺さぶられました。
クライマックス、松方弘樹さんとの立ち回りでは、おふたりとも鬼籍に入られ、熟達した役者魂がまさに刀の刃のように火花を散らし、美しく流れるように繰り広げられるちゃんばらをもう二度と観られないのかもしれないと思うと、ボロボロと涙がこぼれて止まりませんでした。
常に謙虚であられた福本さん。あくまでも主役を引き立たせる斬られ役に徹し、その技を磨き続けて来た人生―。その凛とした佇まい、役の上での死に様は、しっかりとフィルムに焼き付けられ、永遠のものとなりました。本当にお疲れ様でした。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
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