「闇へと墜ちて行く惡夢」パッション みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)
闇へと墜ちて行く惡夢
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官能サスペンスとしては、正直に申し上げて平凡な出来です。変態プレイにも軽くタッチしていますが、それほど衝撃的なものでもなく、中盤まではデ・パルマらしさは微塵も感じられませんでした。
ところが主人公のイザベル(ノオミ・ラパス)が、女性上司(レイチェル・マクアダムス)からのパワハラの重圧に耐えきれず、睡眠薬を常用する辺りからデ・パルマのお家芸とも言うべき映像マジックが一気に活性化して来ます。
次々に繰り出される名匠の華麗なる演出テクニックに、やっぱりデ・パルマはこうでなくっちゃ!と嬉しい悲鳴。 色彩のトーンががらりと変わってしまった画面からは、えも言われぬ不穏な空気がとめどなく流れ出し、観る者を幻惑のトランス状態へといざなってゆく ー。
そして、現実と妄想の境界線も曖昧に。
イザベルが眠りから目が醒めても、まだ惡夢の続きを見ているような辛辣で皮肉っぽい結末もまた、いかにもデ・パルマらしくていい。
デ・パルマ芸術の複合体とも、集大成とも言える1本!
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