かぐや姫の物語 インタビュー: 「かぐや姫の物語」に抜てきの朝倉あき、起用理由は「ワガママな声」

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かぐや姫の物語

劇場公開日 2013年11月23日
2013年11月19日更新
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「かぐや姫の物語」に抜てきの朝倉あき、起用理由は「ワガママな声」

高畑勲監督の14年ぶりとなるスタジオジブリ最新作「かぐや姫の物語」がついに完成した。日本最古の物語文学である「竹取物語」を原作に、かぐや姫が地球に姿を現した理由と、やがて月へ去らねばならなかった波乱の運命を“かぐや姫の罪と罰”という視点で描いた製作期間8年、総製作費50億円の超大作。そのヒロインに、数百人のオーディションから現在22歳の新進女優・朝倉あきが抜てきされた。「今の女優さんは受け身の声が多い。でも彼女の声はワガママだ」と高畑監督。竹やぶでただ1本光り輝く竹から誕生したかぐや姫のごとく、“発掘”された朝倉が作品に瑞々しい生命力を与える結果になった。(取材・文・写真/内田涼)

2008年にスクリーンデビューを果たした朝倉のもとに、本作のオーディションが舞い込んだのは11年の春頃。今から2年半前と聞くと、ずいぶん昔の話に感じるが、それは本作が先に声だけを収録するプレスコという手法を用いたため。ただ、オーディションを受けた直後は「ボロボロで『これはダメだ』と思った。帰り道で泣いてしまったほど」と手応えは皆無だったという。「ですから、しばらくして『決まったから』とお電話をもらったときは、喜びよりも驚きのほうが強かったです。こんなことが自分の身に起こるのかという気持ちで、どう受け止めたらいいかわかりませんでしたね。晴天のへきれき……という言い方は良くないかもしれませんが、まさに突然の出来事に感じました」

プレスコは11年の夏、翌12年の夏の計2回、そして映像が仕上がり段階に入った今年の9月には追加のアフレコが行われた。かぐや姫との付き合いは2年以上に及び「その間ずっと、かぐや姫がどんな女の子なのか考え続け、忘れることはありませんでした。時折台本を開けば、また新しい発見があって」とキャラクターへの思い入れは格段だ。

ただ、映像が見られない段階では「高貴な女性というイメージが強いかぐや姫を、どう演じたらいいのか悩みました」と不安もあったという。唯一の道しるべは、高畑監督による台本だけだったが、「いただいた台本で伸び伸びと生きる女の子としてのかぐや姫に出合い、私自身も心のままに演じてみようと思いました。実際、高畑監督が描くかぐや姫は、本当に瑞々しい女の子。目の前のことに素直に反応する、彼女の自然さを出せればと。それにあんなに情景描写が詳しい台本は初めて。アニメーターさん用の台本かなと思うほどで、自然とイメージが湧き上がりました」と振り返る。

11年に行われたプレスコでは、かぐや姫の育て親である翁(おきな)を演じ、翌年亡くなった俳優の地井武男さんと共演を果たした。「当時を振り返ると、地井さんとの思い出がよみがえりますね。ご一緒したのはわずかな時間でしたが、私はなんて幸せ者なんだと。常にニコニコされていて、自然体。今思うと、私の緊張を解そうとお気づかいくださったのかも。本読みの段階から全力で臨んでいらっしゃって、その姿に引っ張っていただいた」と尊敬の意を表す。また、媼(おうな)を演じる大先輩・宮本信子からも学ぶことは多かったはずだ。

「最終的にかぐや姫は月に帰ってしまうんですが、もし、もっとお互いの気持ちを分かち合えていたら……ってせつない気持ちにもなりますね。翁はかぐや姫を良家に嫁がせ、幸せにしたいという一心ですが、かぐや姫は(精神的に)幼いまま成長し、世間の常識に縛られ、身動きが取れなくなってしまう」。そんなかぐや姫の葛藤は、自分自身にも重なるといい「私自身、『若いから、経験が少ないから』という理由で自信をなくし、精いっぱいの虚勢を張って、背伸びしたことは数知れずなんです(笑)。翁と媼がかぐや姫を思う気持ち、そして私が先輩方に助けていただいた今回の経験を通して、ときには誰かに助けを求めてもいいんだと気づきました。やっぱり人間、ひとりでは生きていけないんだって」としみじみ語る。

当初は宮崎駿監督の「風立ちぬ」と同時公開される予定だったが、クオリティのさらなる向上を目指し、公開が延期されていた。主演を務める朝倉も、10月末に完成した本編を見たばかりだ。「高畑監督をはじめ、スタッフの皆さんのご苦労を想像しながら『これを表現したいんだ』という強い気持ちが伝わってきて、涙が流れましたね。若輩者の私が言うのもなんですが、『人間、やればここまでできるんだ』と。常に理想を追い求める高畑監督の力強い創作意欲に、感銘を受けましたし、だからこそ作品がこれほどすばらしいんだと思うと……」と感動のあまり言葉を失っていた。

現在は、本作の全国公開を前に“主演女優”としてプロモーションに奔走する日々だ。「作品に参加させていただき2年。こうした経験は初めてですが、やっと作品を背負う思い、これまでの積み重ねの大切さを自覚できるようになりましたね。今は背筋を伸ばして、この映画のこと、どんどん宣伝していかなくちゃと思っています!」と決意を新たにする朝倉。それでもインタビューを終え、カメラを向けると「まだ慣れないもので……」と戸惑いも隠せない様子だ。

その姿はまさに、都での華やかな生活になじむことができない素朴なかぐや姫そのもの。ただ、月へと帰還してしまうかぐや姫との違いがあるとすれば、今後、朝倉が女優として着実にステップアップしていくはずという点。かわいらしい竹の子(幼少期のかぐや姫の愛称)が、「かぐや姫の物語」という大きな“節目”を機に、美しく大地に根を張る竹へと成長することを願いたい。

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