劇場公開日 2013年5月18日

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「人生のベストを塗り替えるボリウッド超大作」きっと、うまくいく pullusさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0人生のベストを塗り替えるボリウッド超大作

2014年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

最も優れている映画は、全ての感情が揺さぶられる映画だとするならば、まさにこの映画は最も優れている作品と言えるだろう。

その理由のひとつに、キャラクターの魅力があるだろう。自由人ランチョー率いる"3バカトリオ"は難関理系大学の問題児として扱われているが、親近感があり、彼らのやることなすことには思わず笑ってしまう。まさにバカと天才は紙一重。彼らのライバルである校内のエリート学生や堅物の学長などもいい味を出している。誰が見てもわかりやすく、楽しい作品になっていることは間違いない。

次に、計算しつくした物語の構成である。3バカトリオの学園ものかと思いきや、実は彼らの10年後も同時に描かれている。物語は消息を絶ってしまったランチョーを探しに出かけるとこから始まる。そして昔を懐かしむように大学時代を振り返るという構成。
冒頭はミステリアスな雰囲気で観客の心をつかみ、中盤では学園ドラマで親近感を持たせた後に、終盤、現代に戻り話を締めくくる。
こうした構成により、3時間という上映時間を感じさせないように作られているのだ。

そして話の舞台とその裏に隠されたテーマである。ただの"楽しいお話"では、鑑賞している最中は楽しくても、鑑賞後に内容を忘れてしまうことがある。それは結局、作品のテーマについて深く租借しないからだろう。人生や価値観を変えてしまう映画には必ず答えのないテーマが隠されている。『きっと、うまくいく』にも、コメディの裏に隠された深刻なテーマが潜んでいるのだ。
本作品はインドの現状をリアルに書き出している。超難関エリート理系大学でエンジニアを目指している生徒達はみな、社会や学校、家族からのプレッシャーと日夜戦っているのだ。これは現実にインドで起こっている社会問題で、それとどう向き合っていくかというヒントがこの映画には隠されているのだろう。

この映画が終盤に向かうとき、誰もが笑顔になっているに違いない。ふさがっていた気持ちも晴れ、「きっと、うまくいく」と口にするだろう。もう一度自分の人生と向き合おうと、そう思える作品である。

pullus