劇場公開日 2013年6月22日

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「一緒に不幸になろうと約束した男と女」さよなら渓谷 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5一緒に不幸になろうと約束した男と女

2024年2月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

レイプされた女とレイプした男
辛い長い年月を超えて、同居している。
仲のいい夫婦のように、スーパーの袋を持ち、
女の作ったチャーハンを食べる。

一つのレイプ事件が2人の男女の人生を変えた。
有望な野球選手だった大学生。
男は集団レイプ事件の後で大学を中退して、レールから外れた。
女は結婚話が纏まりそうになると昔の話が知られて、
破断になる。
自殺未遂。
そして女を見舞った男は、
【一緒に不幸になると約束して暮らしている】

決して面白い映画ではない。
2013年。原作は「悪人」「怒り」が映画化される吉田修一。
監督は後に『MOTHER/マザー』を撮る大森立嗣。
モスクワ映画祭最優秀特別賞。
許されない罪の十字架を案外平静に受け入れているレイプ加害者の
大西信満が心に残る。
男を許さない被害者女性を真木よう子。
面白いだけが映画ではない。
ロケーションが素晴らしい。
海に続いて落ちていきそうな坂道。ガードレール。
2人がビールとラーメンで朝飯を摂る全面ガラス張りのレストラン。

アパートの隣の女が幼い息子を殺して、
その女と関係があったとして男は勾留される。
チクったのは女。
男は釈放される。
しかし女は出ていったと男は言う。
「必ず見つけ出しますよ」
「それで幸せですか?」
記者の大森南朋が質問を投げかける。
男は怒りの表情で記者を見る。
幸せとか不幸せとか、
そんな限界を超えてしまった風に思えた。

琥珀糖