史上最大のヒモ 濡れた砂丘

劇場公開日:

解説

戦後最大のヒモとしてふてぶてしく生きる男と、その男に食い物にされた女の生きざまを描く。脚本は「女医の愛欲日記」の深尾道典、監督は依田智臣、撮影は萩屋信がそれぞれ担当。

1974年製作/53分/日本
配給:東映
劇場公開日:1974年12月21日

ストーリー

タクシーの運転手、秋田章二が、関西銀行桂支店に勤務する北野明子を客にしたのはある土曜の午後だった。秋田は以前一度だけ明子を乗せたことがあった。まだあまり道を知らなかった秋田にいろいろ話しかけてきたのだった。そしてその時、明子は銀行の預金係をしていることを話した。十年以上も銀行に勤め、婚期を逸した明子は秋田に誘われるままにホテルに行き、抱かれた。行為が終った後、秋田は明子に金の融通を依頼した。急に金廻りの良くなった秋田は、以前は相手にしてくれなかったバーのママ、靖子を抱き、昼間のほとんどを競艇場で過した。そして、三百坪の敷地のある屋敷を買い、兄と弟を抱き込んで金融業を設立。明子が銀行の帳簿を操作して秋田に貢いだ金額はすでに10億円を越えていた。何度も秋田に結婚を迫っても、その都度あやふやな返事をされるが、彼に抱かれる度に全てを忘れ、胸の中で悶絶するのだった。秋田は意のままに明子をあやつっていた。遂に恐れていた時がやって来た。明子に転任の辞令が出たのだ。一緒に死んで欲しいと、明子は迫った。しかし、秋田は住み込み女中にでもなって姿をくらますように説得した。取り調べを受けた秋田は、屋敷も会社の資金も全て競艇で儲けたものだとうそぶいた。明子は逮捕され、マスコミはこの史上空前の横領事件を大々的に報じた。金持から一転、急に金につまり出した秋田に、靖子は冷たかった。秋田は靖子のマンションで、包丁を取りあげると女を刺した。残る最後の力をふり絞った靖子は、素早く包丁を奪い取ると秋田目がけて突進した。二人はまるで心中したかのように血だらけになって折り重った……。

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