君に捧げし命なりせば

劇場公開日:

解説

昭和十三年『文芸』に発表された故作家平林彪吉の短篇「月のある庭」を「欲望」の新藤兼人が脚色、「母のない子と子のない母と」の新人若杉光夫が共同脚色、監督にあたった。撮影は「初恋トコシャン息子」の岡崎宏三、音楽は「純潔革命」の木下忠司が担当している。「もぐら横丁」の佐野周二、「山下奉文」の宮城野由美子、山形勲、「欲望」の北林谷栄、「女ひとり大地を行く」の岸旗江、その他宇野重吉、杉村春子、滝沢修、清水将夫など新劇人が出演している。

1953年製作/96分/日本
配給:北星
劇場公開日:1953年8月13日

ストーリー

新太郎はかつて腕利きの建築技師だったが、ビルマ戦線でうけた頭部銃創が因で勉強もおもうに任せず、どの入社試験にも失敗する。止むなくキャバレーに勤める妻の桂子を案じて悶々とするが致しかたもない。心痛のあげく、とある建築会社の試験で重役たちに悪どい嘲弄をうけ、ついに狂人となった。脳病院で加療させようにも資力に事欠いて、桂子は途方にくれる。桂子にすまない一念で履歴書を何枚もかき、それをもって街をさまよう新太郎。彼は至る所で物みだかい連中のサカナにされ、漸く得た仕事とはピエロ姿のサンドウィッチ・マンである。仕事をしてお金が貰える。--彼は無心によろこぶが、桂子は苦しかった。彼女は身を売って脳病院への入院費をつくろうと決心する。しかし、かねてご執心のヒゲの紳士とともに高級車に足をかけたとたん、物蔭よりふらふら立現われて「桂子、仕事をしてお金をもらったよ」とよろこぶ夫の姿を見ては、もう体も売れなかった。のこる途は、死。--翌日、桂子は新太郎をつれて新婚旅行の思い出の地、箱根へ出かける。夕陽の芦ノ湖に漕ぎ出したボートを彼女は覆えした。妻は死に、夫は気息えんえんと岸に泳ぎついた。

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