劇場公開日 2012年11月10日

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「甘く苦い愛の記憶」チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0甘く苦い愛の記憶

2013年11月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

音楽家の命ともいえる楽器を壊されたバイオリニスト、ナセル・アリは代わりのバイオリンを探し求めるが、ほかのバイオリンではどうしても彼の思うような音を奏でることが出来ない。もう音楽を奏でる喜びを感じることが出来ないと悟った彼は死を決意する。

死を望む彼の反応は少し過剰に感じられるが、死までの8日間に壊されたバイオリンが彼にとってどんなに大事なものだったのか?
そのバイオリンで奏でる音が彼にどんな喜びをもたらしたのかがあきらかになる。
その音色には、彼が手に入れることの出来なかった愛の甘く苦い記憶が宿っていたのだ。

『ベルセポリス』で自らのコミックをアニメーションにしたマルジャン・サトラビが再び自らのコミックを実写で映画化するということでどんな作品になっているのか興味深く観たが、「昔々あるところで〜」で始まる昔話のように普遍的な愛の寓話になっている。
アニメーションを思わせる背景とセット撮影の相性はとてもよく、アニメーションパートも効果的に使われていた。

arakazu