劇場公開日 2012年2月4日

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「彼の行動が正義か悪か、考えながら観る」マシンガン・プリーチャー Shumpさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0彼の行動が正義か悪か、考えながら観る

2013年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

知的

「人の命は平等に尊い。暴力は暴力の連鎖を生む。」このようなキレイゴトは、アフリカで殺戮に怯えている子ども達には何の価値もないと、訴えてくるような、実話をもとにした映画です。

アメリカ人男性のサム・チルダースは、酒と麻薬に明け暮れていました。しかし、ある事件をきっかけに、家族と教会での礼拝に参加したことで心を入れ替え、建築業で起業し、後に牧師となりました。ある時、彼の教会のメンバーとウガンダの現状を視察するための旅行で、スーダンの難民キャンプを訪れたことをきっかけに、同国の子ども達のために学校を建てる事を決意します。ところが始めて建設した学校は武装集団のLRA(神の抵抗軍)に襲われて全壊します。そこで、彼は自ら銃を持ち、襲撃や児童誘拐を行う武装集団と闘うことで、学校と子ども達を守る道を選びました。

個人的には、彼の行動に賛同する事できません。彼が闘う事で守る事ができたのは、スーダンに何万といる戦災児童のごく一部でしかなく、問題の根本的な解決にはなっていません。また、彼が殺したLRA兵士の子どもは餓死するか、少年兵となるか、いずれにせよ、まともな人生を送るのは難しいでしょう。

しかし、彼が救った、何百人もの子どもを前にして、「彼は間違っている」と、言う事ができる人はいるでしょうか。それは、ある意味、「暴力は良くないから、君たちが虐殺されるのを、見殺しにするよ」と、言うのと等しいです。

兵士を殺し続ける彼は正しくはないのかもしれない。しかし、スーダンの子ども達のために何も行動していない、私を含めた多くの人々に、彼を責める事が出来るのか。

どのような考えを持つ人も、一度この映画を見て考えて欲しいと思います。

Shump