「学生達の純粋な熱意が悲しい」11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち グッドラックさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0学生達の純粋な熱意が悲しい

2012年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

若松孝二監督が「実録 連合赤軍…」と同時代を学生運動とは対極に思える方向から描いた作品ということで、注目していました。
大阪万博に日本が沸いていた1970年の「その日」に向け、三島由紀夫の「楯の会」に関わる活動を淡々と追っていきます。

学生運動家と違い、三島の資金が潤沢でみんな小綺麗。士官ばかりで兵の居ない組織のような、浮世離れした印象でした。当時の彼らの議論は言葉も意味も理解し難いけれど、学生達の純粋な熱意が悲しかったです。

演劇界にも大きな足跡を残し、映画も制作した天才三島由紀夫。破滅に向かうしかなかったのは、天才の強い感受性からでしょうか。三島を演じた井浦新、自身の美意識にこだわった男を演じ切っていました。
寺島しのぶ演じる三島の妻の存在が、意味深で効いてました。

小説「仮面の告白」には衝撃を受けたものです。満島真之介演じる側近・森田必勝との関係は、師弟のようでそれ以上のようで。

グッドラック