劇場公開日 2015年8月1日

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「"誇り高き失敗作"」進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 平田 一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5"誇り高き失敗作"

2015年8月19日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

Twitterの感想呟きでこの題名を使いましたが、本当自分でも冷静に見ると、失礼だなって思います。必死に頑張ったスタッフ・キャストを怒らせるような印象ですね。もしそうなったらスイマセン!

まず良かったところですが、目玉の“超大型巨人”!!あの造形とビジュアル含め、全部完璧でしたね!!それからゾロゾロウヨウヨ出てくる“巨人”たちのビジュアルも、まさか想像の遥か上行くほどの“気持ち悪さ”で攻めてくるとは…。これをPGで済んだことがちょっと信じられないですね…。Rの間違いじゃないよね!?ってぐらい(苦笑)完成度が高かったです!!捕食シーンも凄かったですし。

キャスト陣は何と言っても石原さとみの演じたハンジ!!ビジュアルどころか外見・特徴全部含めてハンジだし、日本の役者が陥りがちな“要らない台詞”もゼロだったし、『ルパン』の小栗旬以来の“奇跡”!!キャリア最高の当たり役でしょ♪それにアルミンの本郷奏多、ミカサ役の水原希子、サシャ役の桜庭ななみもこっちの予想覆されるほどハマり役でビックリした!!多分これを見れただけで原作ファンは嬉しいと思う。

だけど“問題”がそれでも勝ってる。エレンの背景を変更したのは全然どころか満足なのに、上映時間98分のストーリーがダメダメすぎる。各キャラクターのバックボーンを掘り下げないで話進めて、対して愛着がなかったのか簡単にキャラを殺すとことか、突発で繋げた展開のせいでテンションが事実何度か下がった。あと“人工”を感じすぎて、イマイチ集中ができなさすぎる。「太陽の光」「戦いの舞台」「フィクションにしても不自然な会話」…列挙したらキリがないが、とにかく脚本問題多し。チラッとノベライズ読んでみたけど、あっちのほうが遥かに良い。“瞬殺”はやっぱり頂けないど、映画よりも掘り下げてるし、本編にない“伏線”あるし、お客配慮がちゃんとあった。

あと主役のエレン演じる三浦春馬がこれと言って感想ナシで逆にちょっと心配になる。エレンは作品の動力源って言えるぐらい重要なのに、ここではそんなに動いてないし、動いていても無駄多いし、も少し何とかならなかったか…?あとやっぱり年齢的にエレンに無理があると思う…。身長とかも高すぎるし…。『後編』はどうにか頑張ってほしい!!

それとオリジナルキャラだけど、彼らいるか?って思えてしまう。原作キャラの代わりにしても、無駄な台詞に要らない行動、あっけない死にざまするのもいるし、これで本当にOK出たならちょっとセンスを疑ってしまう…。

逆にどっちつかずなのがこちらも新キャラ・シキシマ隊長。『前編』だけだと腕確かで、後は只の変な人(苦笑)弟は“只のウザいやつ”ってLINEで話してて言ってたなぁ~。ただ重要なのは確かだから、今度の『後編』で白黒つけるぞ。長谷川さんは良かったけどね♪

それに立体起動のシーンも、かなり問題が多すぎる。まず何というか“見え難い”。アニメみたいにスピード感とか軽量さを出したいのか、それとも重量感を見せたいのか、どうしたいのか分からなくて、受け取る側も困ってしまう。アングルにしてもアニメのクオリティに付きまとわれて混乱したのか、お世辞にも集中して興奮できるものじゃなかった。実写にするなら距離をとるとか間合いをとって撮影したほうが見えやすいし、それに“人工”の暗さよりも“自然”の暗さを採用して、リアルに迫る脅威が欲しかった。前に見た『猿の惑星:新世紀(ライジング)』はロケしながら3Dカメラで撮影して、1作越えを果たしたわけだし、それぐらいの無謀さも持って撮影して欲しかった。そもそもここでしょ!!ハリウッド映画の撮影術を盗むなら!!変にハリウッドを意識して、“特攻結末”に頼るより、こういう小さな事柄からまず盗むことをしてほしかった。それぐらい立体起動は不満だけしか感じなかった。

ネットどころか世間の意見は酷評優勢で納得だけど、それでも僕が星の数を中より上にした理由は、今後の日本の特撮技術と持ち合わせているCG技術、それに知恵やテクニックがあれば、『スター・ウォーズ』の1作目に匹敵するような映画を作れる!!そんな未来が見えたからです!!“まさか”と思うかもでしょうが、それは結構あり得るのでは?昔タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』のパンフに書いてあったんですが、“ユダヤの熊”役のイーライ・ロスが劇中映画を手掛ける際、『地獄のバスターズ』を参考に戦車・戦闘機一台ずつ上手く使って、それ以上の数に見せたとかインタビューで語ってので、そういう工夫とテクがあれば20億で大スケールの超大作を撮る事できる!!それは不可能でないはずです!!

だからそれが出来たときにこの映画は題名にある“誇り高き失敗作”となってくれる気がします!そんな未来に期待を込めて、星を3.5にしました!!果たして『後編』はどうなのか!?良し悪し込みで待ってます!!

追記:あと今でも思うのだが、そろそろ日本は“2部作体制”一旦止めるべきだと思う。ハリウッドは“1作目”に全身全霊かけているし、例え出来栄えが酷いとしても、真っ向勝負してる思う。そういう姿勢があるからこそ今も“ハリウッド”は輝いてるんだと思う(社会派映画に寛容なところも僕は本当尊敬してるし)。
日本は何か“安全策”で2部作公開してるみたいで、実際『進撃』実写版の時間の短さ、どうなの?そろそろシリーズ化見越したうえで140~180分の“1作目”を作るべき。このまま“2部作依存”してたら、バブル弾けて衰退行き、“洋高邦低”時代の頃にまた戻ってしまうだろうし…。
それと前編主題歌を歌う“SEKAI NO OWARI”の「ANTI-HIRO」はとてもハマっているとは思えない。それなら予告で使っていた「Dark Side of Power」を使ってほしかった…。

平田 一