ドライヴ

ALLTIME BEST

劇場公開日:2012年3月31日

ドライヴ

解説・あらすじ

「きみに読む物語」「ブルーバレンタイン」のライアン・ゴズリング主演で、昼はハリウッド映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手として働く孤高の天才ドライバーが、愛する女性を守るため裏社会を相手に命がけの戦いを繰り広げる姿を描いたクライムサスペンス。デンマーク出身の新鋭ニコラス・ウィンディング・レフン監督が手がけ、2011年・第64回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。

2011年製作/100分/R15+/アメリカ
原題または英題:Drive
配給:クロックワークス
劇場公開日:2012年3月31日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第84回 アカデミー賞(2012年)

ノミネート

音響編集賞  

第64回 カンヌ国際映画祭(2011年)

受賞

コンペティション部門
監督賞 ニコラス・ウィンディング・レフン

出品

コンペティション部門
出品作品 ニコラス・ウィンディング・レフン
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映画レビュー

4.5 香港が嫉妬する快作!

2012年4月18日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

興奮

「インファナル・アフェア」→「ディパーテッド」の逆を行き、香港映画版を観てみたい! 俳優は、トニー・レオンか、レオン・ライか。ドニー・イェンは王道だけれど、見るからに強すぎる。騒々しく雑多な香港の街中であれば、このドラマはどのような闇と光を生むのだろう。そんな妄想が際限なくふくらむ、最近稀に見る快作に出会えた。
始まるなり、観客は暗闇に投げ出される。目が慣れてくるにつれ、犯罪の渦中に立ち合っていると気付く。夜明けとともに、不穏な喧騒から一転、渇き鬱屈した日常へ。とはいえ、無表情な主人公の生気のなさに変わりはない。そんな彼の前に、くりくりとよく動く瞳の母子が現れ、物語が動き出す。…そして、何がなんだかよく分からないままに、観る者も母子に魅了され、物語に引き込まれていくのだ。
とにかく無駄がない。セリフも、シーンも、登場人物も、そして上映時間も。キャスト、スタッフが織り成すアンサンブルが素晴らしい。主演のライアン・ゴズリングは言うまでもないが、紅一点のキャリー・マリガンの可憐さも貢献度が高い。香港リメイクするとしたら、彼女に匹敵するリアルタイムの女優がパッと浮かばないのが難点だ。かつてのマギー・チャン、もしくはセシリア・チャンあたりはパッと浮かぶのだが…。
ちょっと古くさい、もしくは泥くさい。クレジットのピンク色が下品。初めは少々気恥ずかしく思えたあれこれも、観終えたあとはこの映画の欠かせない要素、と何処かいとおしく思えてしまう。それらが実は巧妙な計算であったとしても、単なる「たまたま」だとしても。
映画は、まだまだ捨てたもんじゃない! にんまりしながら席を立つ快感を、久々に味わえた。

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cma

2.0 じじい、おっさん、ぼうず、全ての男子に捧ぐ・・・のつもりが

2012年4月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

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しんざん

4.0 レフン監督が全米デビューを果たしたカー・アクション映画の傑作

2021年10月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ライアン・ゴズリング主演、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の出世作。LAを舞台に、犯罪者に雇われ逃走を助ける凄腕ドライバーの姿を描く。冒頭から強盗犯を車に乗せ、警察無線を傍受しながらパトカーや警察ヘリとチェイスする緊張感のあるシーンから始まる。どんなに追い詰められても決して慌てず、時にスローに、そして激しく自在にクルマを操るプロの仕事ぶりに引き込まれる。

原作はジェイムズ・サリスのクライム・ノベル。時制が行きつ戻りつしながらイメージ描写が挟み込まれ、主人公である「ドライバー」の幼少期から今に至るまでのエピソードが交錯するノワールノベル(続編として生き延びた主人公が7年後、婚約者を殺され復讐に立ち上がる姿を描いた邦訳版は未刊行の「Driven」がある)。実はこの小説、1978年のウォルター・ヒル監督による映画「ザ・ドライバー」にオマージュを捧げられている。同作もやはり“逃がし屋”を描いたカーアクションで、主演ライアン・オニールの代表作になっている(「ザ・ドライバー」自体はメルヴィル「サムライ」やペキンパー「ゲッタウェイ」の影響を受けている)。

そもそもレフン監督の起用は、このノワールな原作を気に入っていたゴズリングからの逆指名によって始まったという。彼はレフン監督の才能に早くから注目しており、主演が決まった際にゴズリングから打診の連絡をしたという。当初は興味を示さなかったレフンだったが、ゴズリングと会ったその日にイメージが湧き監督を引き受けたというエピソードがある。

主観が先行し映像化には骨が折れそうな原作を、レフンと脚本家ホセイン・アミニは大まかな設定をベースに、ファッションや小物、クセなどにオリジナリティを加え主役のキャラを設定、共演陣に人妻役のキャリー・マリガンやその夫のオスカー・アイザック、マフィアのロン・パールマンといった魅力的なキャストを配置した。また、効果音やサウンドトラックも不穏な映画の雰囲気をスタイリッシュに盛り上げ、目立つタイトルロゴやギラつく照明が現実感を揺さぶる。これは視覚障害をカムアウトしているレフン監督ならではの演出なのかも知れない。

さらには、凄まじいカーチェイスに加え、血まみれの格闘アクションや人体損壊など、遠慮のないゴア・シーンも多く登場する。エグいほどのバイオレンス描写で定評のあるレフン監督の持ち味を十分に活かし、原作には無い魅力が加わっている。2010年代を代表する作品の1本だ。

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ホンダケイ

4.0 【84.1】ドライヴ 映画レビュー

2025年10月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

『ドライヴ』(2011)批評:ネオンと暴力が織りなす現代のノワール
作品の完成度
ニコラス・ウィンディング・レフン監督による『ドライヴ』は、単なるクライム・スリラーの枠を超え、現代の「ネオ・ノワール」として特異な完成度を誇る。寡黙な主人公が愛する者を守るため、静謐な日常から一転して暴力的な裏社会へと足を踏み入れるという物語は、古典的なハードボイルドの定型を踏襲しながらも、レフン独特の作家性によって極めて洗練されたアート・フィルムへと昇華されている。その完成度は、抑制された感情表現と突発的な暴力描写というコントラストの妙に集約される。特に前半の静けさと後半の激しさの緩急は、観客の感情を深く揺さぶる。セリフを極限まで削ぎ落とし、視覚と聴覚、つまり映像美と音楽によって物語と登場人物の感情を語らせる手法は徹底されており、一本の映画として一切の無駄がない。純粋な愛と破滅的な暴力、ロサンゼルスの光と影といった対極的な要素を、見事なバランスで一つの世界観に封じ込めた傑作と断じるべきである。本作は第64回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しており、その芸術的価値は国際的にも認められている。また、第84回アカデミー賞では音響編集賞にノミネートされた。
監督・演出・編集
ニコラス・ウィンディング・レフン監督の演出は、極めて意図的かつスタイリッシュである。スローモーション、ネオンカラーを多用した夜の都市の描写、そして何よりも主人公の「無表情」を徹底して利用することで、観客に内面的な感情の渦を想像させる。レフン監督は、物語を語るよりも雰囲気を構築することを重視しており、その「作家主義」が強く反映された映像は、時に退屈と評されがちな「間」をも、張り詰めた緊張感で満たしている。モンタージュは、静寂なシーンと爆発的な暴力シーンを対比させることで効果を最大限に高めている。特にエレベーターのシーンにおける、ロマンチックなキスから一転して凄惨な暴力へと至る流れは、監督の残忍なまでの美意識と編集の妙が凝縮された、映画史に残る瞬間と言える。
キャスティング・役者の演技
キャスティングは、主演から助演に至るまで、そのキャラクターの二面性や深みを体現する上で完璧と言える。
• ライアン・ゴズリング(ドライバー役)
本作の核となる存在。昼はハリウッドのスタント・ドライバー、夜は強盗の逃がし屋という二つの顔を持つ寡黙な男を、セリフに頼らず、その眼差しと微細な身体の動きだけで表現しきっている。彼の演技は「沈黙の雄弁」であり、内側に秘めた純粋な愛情と、ひとたびリミッターが外れた際の冷酷な暴力を、同一人物の中に違和感なく同居させている。特にトレードマークであるサソリの刺繍入りジャケットを纏った姿は、彼が背負う運命と、その後の破滅的な行動を象徴しており、一種の神話的なヒーロー像を現代に蘇らせた。ゴズリングの抑制されたカリスマ性が、この映画のスタイリッシュなトーンを決定づけている。
• キャリー・マリガン(アイリーン役)
隣人であり、ドライバーが恋心を抱く女性アイリーンを演じている。彼女の演技は繊細で抑制されており、その儚げな存在感が、ドライバーの守りたいという本能的な衝動を掻き立てる。多くを語らないゴズリングに対し、マリガンの表情や仕草が醸し出す不安や孤独が、物語の「純愛」の部分を担い、ドライな映像の中で温かい血を通わせている。
• ブライアン・クランストン(シャノン役)
ドライバーのマネージャーであり、整備工場の経営者。裏社会に片足を突っ込みながらも、常に一歩引いた立場でドライバーを心配する、人間味のある人物像を巧みに演じている。彼の存在は、ドライバーの過去や背景を間接的に匂わせる役割も果たし、物語のノワール的な深みを増している。
• オスカー・アイザック(スタンダード・ガブリエル役)
アイリーンの夫で、出所してきたばかりの服役囚を演じる。家族の愛を取り戻そうとする一方で、過去の因縁に囚われる男の葛藤と弱さをリアルに表現し、物語を破滅へと導くトリガーとしての役割を重厚に担っている。
• アルバート・ブルックス(バーニー・ローズ役)
元映画プロデューサーであり、裏社会の大物。ブルックスは、ユーモアと冷酷さを併せ持つ、洗練された悪役を異様な存在感で演じきり、本作の緊張感を一気に高めた。彼の演技は特に高く評価され、ニューヨーク映画批評家協会賞助演男優賞をはじめ、多くの批評家賞を受賞し、ゴールデングローブ賞助演男優賞にもノミネートされた。
脚本・ストーリー
ヒューストンを舞台にしたジェイムズ・サリスの原作小説をベースに、ホセイン・アミニが脚色した脚本は、極めてシンプルである。プロットそのものは、孤独なアウトローが隣人女性に恋をし、彼女の家族を守るために悪と対決するという古式ゆかしい構造を持つ。しかし、そのシンプルさが、監督の映像美と俳優の感情表現を際立たせるキャンバスとして機能している。特筆すべきは、主人公「ドライバー」の過去や本名を一切語らず、観客の想像に委ねる手法である。これにより、彼は一人の男であると同時に、正義と暴力の化身、現代の騎士としての神話性を帯びる。物語は、愛のために行動する「ヒーロー」の姿を映し出しながらも、彼の行動原理が持つ「サソリ」のような自己破壊的な本質を突きつけ、最終的には観客に苦い余韻を残す。
映像・美術衣装
映像は、レフン監督の「色彩」に対するこだわりが顕著であり、ネオンサインや夜景の青、ピンク、紫といった人工的な光が、ロサンゼルスの裏側を官能的かつメランコリックに描き出す。車内からの低いアングルや、キャラクターの顔に深く影を落とす照明設計は、古典的なノワール映画の美学を継承している。美術は、主人公の暮らすアパートメントやダイナー、整備工場など、どれもがノスタルジックでありながら現代的。特に衣装は、ドライバーの着る背中に巨大なサソリの刺繍が施された白いサテンのジャケットが象徴的で、彼の寡黙な騎士道精神と、内なる毒を秘めた危険な二面性を視覚的に表現する、強烈なアイコンとなっている。
音楽
クリフ・マルティネスによるスコアと選曲は、本作の美学の柱の一つである。1980年代のシンセサイザー・ポップやエレクトロニカを彷彿とさせるサウンドは、映画全体にメランコリックでドリーミーな雰囲気を与え、映像と完璧に融合している。特に、主題歌として位置づけられる**Kavinskyの「Nightcall」や、エンディングで使用されるCollege & Electric Youthの「A Real Hero」**といった楽曲は、主人公の孤独な魂と、彼が目指した純粋な「英雄」像を情感豊かに彩り、映画の余韻を決定づけている。マルティネスのミニマルなシンセサイザー・スコアと、選曲された80'sリバイバル系の楽曲群が、この映画を単なるクライム・スリラーではなく、一種のミュージック・ビデオのような、様式美に満ちた作品へと押し上げている。

作品[Drive]
主演
評価対象: ライアン・ゴズリング
適用評価点: A9
助演
評価対象: アルバート・ブルックス、キャリー・マリガン、ブライアン・クランストン、オスカー・アイザック
適用評価点: A9
脚本・ストーリー
評価対象: ホセイン・アミニ
適用評価点: B+7.5
撮影・映像
評価対象: チョン・ジョンフン
適用評価点: S10
美術・衣装
評価対象: ベス・ミックル
適用評価点: A9
音楽
評価対象: クリフ・マルティネス
適用評価点: S10
編集(減点)
評価対象: マシュー・ Newman
適用評価点: -0
監督(最終評価)
評価対象: ニコラス・ウィンディング・レフン
総合スコア: [84.06]

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honey