劇場公開日 2007年3月3日

「かわりゆく季節の中で、巡り行く時間の中で。」秒速5センチメートル ポップコーン男さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0かわりゆく季節の中で、巡り行く時間の中で。

2019年8月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

見終わって、「君の名は。」の様にスッキリした気分ではなく、少しどんよりした気分になったがそこがまた良いのかもしれない。

それは「君の名は。」とは違った現実に起こりうることを描いており、「人と別れる傷み」や「桜がキレイだね。と共感できる幸せ」がこの世界に生きる人ひとりひとりに息ずいておりナチュラルに体験できるからだろう。

また誰もが見たことのある風景や感じた事のある風の強さ、電車の雰囲気、コンビニの店内等が美しく描かれており新海監督らしさが素晴らしい。

新海監督らしさといえばSF要素(それで種子島なのね、、、)も若干ではあるがきちんと入っていた。

人物描写もやストーリー、構成も緻密であり、「君の名は。」でも描かれていた「会えない辛さ」を 1話で、「会えるからの辛さ」を2話で描かれていた。
恋愛をある程度経験した人にはどちらも共感でき、また手紙でやり取りしたことのある人間や、すぐに連絡できない不便さを味わった年代にはたまらないと思う。

そういう意味では今のLINEでしか意思疎通出来ない人たちは可哀想でもある。

タイトルも秀逸でいつか誰かが言ったふとしたフレーズは今もその情景を見れば思い出すし、季節が来ると思い出す。

日本人の我々はそういうかわりゆく季節の中で、巡り行く時間の中で生きられている幸福を再確認できる素敵な作品だった。

ポップコーン男