劇場公開日 2012年1月14日

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「戦争映画は描き方と配慮が難しい」マイウェイ 12,000キロの真実 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5戦争映画は描き方と配慮が難しい

2012年12月23日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

興奮

「シュリ」「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ監督が放つ戦争映画超大作。
韓国映画史上最大の制作費を投じた戦場シーンは評判に恥じぬ大迫力で、「プライベート・ライアン」にも負けない。これだけでも劇場で見たかったと思ってしまい、同じアジアなのに日本人として悔しい。日本映画よ、もっと頑張れ。

ストーリーは…
日本軍将校を祖父に持つ日本人青年と、その使用人の息子である朝鮮人青年。2人はマラソン選手を目指すライバルであったが、ある不幸が起こり、決別する。
戦争が勃発し、2人は戦場で再会。幾度も捕虜になりながら、12000キロの戦場を生き延びる。
同じ夢を持ちながらも、戦争に翻弄され続けた国の違う2人の青年の運命をドラマチックに綴る。
一応実話らしいが、何処までがフィクションでノンフィクションなのか曖昧だ。

カン・ジェギュ監督がケレン味たっぷりの演出と怒涛の展開でグイグイ見せ、見応えある巨編に仕上がっているが、どうしても気になってしまう点が。

まあ日本人の描写が酷い。
オダギリジョー演じる日本人青年の祖父が殺された時朝鮮人のせいだと罵ったり、マラソン大会で優勝者を捏造したり、朝鮮人兵士に冷徹な仕打ちをしたり…。山本太郎演じる軍人なんて、コイツ人間か!?と思うくらい酷い。
反対に、チャン・ドンゴン演じる朝鮮人青年は脱走したのにも関わらずソ連軍の奇襲を知らせに戻ったり、中国人女スナイパーを助けたりとヒロイック。ソ連軍の犬に成り下がった朝鮮人兵士も居たけど。
後、朝鮮人の描写は自然体だけど日本人の描写はぎこちない…って言うのは監督の演出の問題だが。

時代背景や当時の日本軍の悪行は充分承知しているし、全てを狂わせた戦争の愚かさと残酷さも分かる。リアルさを追求するのはイイが、そこまで劣悪に描く必要あったのかな?
この映画って戦争に翻弄された2人の若者の話のハズ。勿論2人が徐々に和解し合うドラマもちゃんと描かれているが、何だかこじつけにも思えてしまった。
戦争映画ってホント、描き方と配慮が難しい。

近大