劇場公開日 2011年10月8日

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「人生晴れのち曇り、そしてまた晴れる!最高のヒーリング映画」ツレがうつになりまして。 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人生晴れのち曇り、そしてまた晴れる!最高のヒーリング映画

2011年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

堺雅人と佐々部清が再びタッグを組んで、今の日本を切り取ってくれる!頑張らないで生きると言う女房役の宮﨑あおいの熱演に涙!
心の風邪と言うらしい鬱病になった夫の治療の過程を漫画にした作者の体験をドラマ化しているのだが、これが暗く無くて、観ていてうなずけて、しかも予防薬的効果も有りかも?と期待も出来る、好印象の映画だ。
今や3大成人病に新しく2つの病気が加わり、我が国では5大成人病と数えられる疾病の中の一つにこの、鬱病と言う面倒臭い、完治に至る迄の長い道のりの病気が加わったのだ。
何とも日本人にとって残念な事に年間3万人以上の人達が10年以上に渡り自殺をしている不思議な自殺大国日本。それらの自殺者の中にも、きっと鬱病を患い、発作的に自殺されてしまった方もおられるのだろうと、この映画を見ていると感じるのだ。
この悲しい現実を目の前にして、結婚5年目の若い夫婦が、鬱との闘病を漫画にして、ベストセラーにした奇跡の物語が、ドキュメンタリーでは無く、またアニメでも無く、実写のドラマとして創られたと言うのも、その時々の時代の一部をもぎ取り描くと言う事も一つの映画の大きな使命であり、この映画は今の日本を現した作品として、その存在価値を高く評価したい。
実際のこのドラマのモデルの家では、クラッシック音楽を頻繁に聴いていたのかは分からないのだけれども、ピアノ曲がとても効果的に使われていて、まったり、のんびりと極力肩の力を抜きながら生きて行く事に徹した夫婦の物語を観る事で、私達は、一種の癒し効果を得ているような気がした。
最近元気が足りなくて、心の風邪かもと思っている鬱病の初期段階の軽症患者には、ヒーリング効果と言うかリハビリ映画としてもお勧め出来そうな程である。
これは、単なる闘病日記的な映画では無く、若い家族の新たな再生の物語で有り、ラブストーリーでも有る点が救いである。
良い意味で予想に反して、ややもすると重く暗くなりがちな題材を、敢えてコミカルに描きつつも、程良くリアル感を残した作風が絶妙の作品だ!
正直『日輪の遺産』では、少々現実味が薄れていて、堺さんと佐々部コンビには、ガックリさせられたのだが、今回は、ハナ丸だ。

『陰日向に咲く』『ソラニン』と献身と純真な役ところが好感の持てる宮﨑あおいを起用したと言うのもこの映画の成功の要因の大きな点だと思う。
これからの季節は、何とは無く、物悲しく、切ない気持に成り易い秋だ。頑張らないで、
でも決して後ろ向きに成らずに、ゆっくり、一歩一歩、確実に人生を前進させる事の素晴らしさ、それに向かい合って行く事の素晴らしいさを教えてくれたこの映画に感謝したい。病める時も、健やかなる時も共に、これを敬い、愛し生きて行く事を心に秘め、この311後の日本をみんなで共に生き抜いて行けたらどんなにか、素晴らしい事だろうか!
明日は、また新しい日だ、人生晴れる日が来ない事などないとツレが言っている!!

ryuu topiann